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今回は英語の問題です。
東大入試プレ問題にチャレンジしてみましょう。
英語
問題2. 次の英文の下線部(1)、(2)、(3)を和訳せよ。
(1)Of the many species that have existed on earth----estimates run as high as fifty billion----more than ninety-nine per cent have disappeared. In the light of this, it is sometimes joked that all of life today amounts to little more than a rounding error.
Records of the missing creatures can be found everywhere in the world, often in forms that are difficult to overlook. And yet extinction has been a much contested concept. (2)Throughout the eighteenth century, even as extraordinary fossils were being dug up and put on exhibit, the popular view had it that species were fixed, created by God for eternity. If the bones of a strange creature were found, it would mean that that creature was out there somewhere.
Thomas Jefferson, the third President of the USA, wrote, “(3)Such is the efficiency of nature that no instance can be produced of her having permitted any one race of her animals to become extinct; of her having formed any link in her great work so weak as to be broken.” He even sent two famous scientists to the Northwest where the bones of mastodons were found. He hoped that they would come upon live mastodons roaming the region.
解答例と解説
- 解答例
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(1)500億種にもなると見積もられている、地球上に存在した数多くの種のうち、99%以上が姿を消している。
(2)風変わりな化石が発掘され展示されていたその時も、種というものは固定していて、神によって永遠に存在するよう創造されているというのが18世紀を通じての一般的な考えだった。
(3)自然界はとても効率的に営まれており、その動物のどの一種でも絶滅させたような例を示すことが出来ないほどである。
- 解説
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東大の下線部和訳問題では従来、構文が入り組んで複雑な構造をした文や、文脈依存度が高いために直訳したのではまともな日本語にならない箇所が出題されてきた。
しかし、数年前から構文的にも文脈的にも単純で、東大らしからぬ取り組みやすい英文が出題されるようになった。コミュニケーション重視の新課程英語にそった出題なので、こうした易化傾向は今後も続くと思われる。
今年もこうした傾向に歯止めがかかったとは言えず、構文的には素直な英文が出された。ただし、構文的には素直でも、相変わらず日本語には訳しづらい英文が採られている。
いずれにしても、東大の下線部和訳問題では相当しっかりした文脈把握力と日本語表現力が求められることに変わりはないだろう。
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(1)Of the many species that have existed on earth …「地球上に存在した数多くの種のうち…」の of は、この英文のようにしばしば文頭に置かれて、「〜のうち、〜の中で」という意味を表す用法である。
More than ninety-nine per cent of the many species that have existed onearth have disappeared「地球上に存在した多くの種のうちの99%以上が消滅している」がふつうの文であり、本問は of 以下が前置された形である。
例えば、He is the tallest of them all.「彼はみんなの中で一番背が高い」は Of them all、he is the tallest. とも言える。
2つのダッシュにはさまれた estimates run as high as fifty billion「見積もりは500億にもなる」の run は「〜になる、〜に達する」という意味を表す自動詞である。billion は「10億」なので、fifty billion は50×10億=500億となる。
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(2)Throughout the eighteenth century は「18世紀を通して、18世紀の初めから終わりまで」ということ。even as extraordinary fossils were being dug up and put on exhibit「風変わりな化石が発掘され展示されていたその時も」の even as … は「ちょうど…である時(も)、まさに…の時(も)」という意味を表す言い方である。
主節の the popular view 以下は have it that … の表現がポイント。これは「…と言う、…と主張する」という意味の定型表現であり、rumor などがよく主語になる。
ex. Rumor has it that they are getting married.
「うわさでは2人は結婚するということだ」従って、the popular view had it that … は「一般の考えは…というものだった」や「一般的に…と考えられていた」と訳せばよい。(were being) put on exhibit「展示されていた」は put 〜 on exhibit「〜を展示する」の受身形である。
created by God for eternity「神によって永遠のものとして創造された」は、その前の species were fixed「種は固定されていた[固定していた]」を説明する過去分詞表現である。
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(3)Such is the efficiency of nature that … は The efficiency of nature is such that … と書き換えられる。この such that … は such A that …「非常にAなので…」という表現のAを欠いた形である。
ex. Such was his courage that people couldn’t helpadmiring him.
(= His courage was such that people …)
「彼の勇気はたいへんなものだったので、人々は彼を賞賛せざるをえなかった」Such was her grief that she lost her appetite and grew thin.
(= Her grief was such that she …)
「悲しみのあまり、彼女は食欲をなくし、げっそりやつれてしまった」この2つの例から分かるように、such that … は「非常に…、とても…」といったはなはだしい程度を表すと解すればよい。
Such is the efficiency of nature that …. は直訳すれば「自然はとても効率的なので…」となる。もう少しくだいて訳すと解答例のように「自然界はとても効率的に営まれており、…ほどである」となる。
that 以下では、of 〜 の扱いがポイントになる。これは instance に続く言葉で、動詞部分 can be produced の後に置かれている。
no instance of her having permitted any one race of her animals to become extinct can be produced; no instance of her having formed any link in her great work so weak as to be broken can be produced「自然が生み出した動物のどの一つの種でも絶滅することを自然が許した例を提示することは出来ない。その大いなる作品中のどんなつながりとて、脆弱のあまり壊れてしまうように作った例を示すことは出来ない」が本来の形である。
最初の her は having の意味上の主語であり、Mother Nature「母なる自然」という言葉があるように、nature を her で受けているのである。permit A to do「Aが〜するのを許す」は基本的な表現である。
「Y-SAPIX Journal 2011 AUTUMN」より転載
次回は、「東大入試プレ問題分析〈数学・問題2〉」を掲載予定です。