第18回 東大入試《地歴》問題の傾向&対策 日本史

東大研究室

日本史

2011年度までの出題傾向

原則として、大問構成は古代、中世、近世、近現代から各1問ずつ出題される。ただ、原始からの出題は近年見られないほか、戦後史も単独の大問で出題されることはなく、戦前の問題とからめて出題される。

また、大問ごとに小問が2〜3問ある場合が多く、字数指定は、大問150〜180字(1行30字)、小問30字〜150字となっている。論述問題については、5つ前後の文章や史料、表、グラフ、写真などを提示するのが一般的である。

出題分野は政治、経済、社会、文化が均等に出題されているわけではなく、年度によってばらつきがあるほか、時代ごとにも特徴がある

古代史では律令国家の形成・発展・崩壊や、東アジアの中における日本を意識した出題。中世史では平安末・鎌倉から室町時代にかけての政治・社会の変化、社会経済と国家権力との関係を意識した問題、近世史では幕藩体制を軸とした政治・経済史、琉球や蝦夷地といった地域史を含めた外交史からの出題、近現代史では「大日本帝国憲法」と戦前の政治体制、近代の産業構造や経済発展、欧米との関係を意識した問題がよく出される。

したがって漫然と学習するのではなく、東大の出題傾向に合わせて重点的に学習すると効果が大きいだろう。

2012年度入試に向けての対策

受験生の復元答案から見て、得点率60%以上なら十分合格圏内に入るが50%では合否が別れるようだ。もちろん日本史の点数だけで合否が決まるわけではないだろうが、確実に合格圏に入るには40点(60点満点)近くとる必要がありそうだ。

問題のレベルは“手も足も出ない”という難問ではないが、知識量の多さが得点に直接結びつくような問題ではないので、かなり難しく感じられるだろう。もちろん、論述にあたっては正確な知識が不可欠ではあるが、その知識を出題の意図に沿って正しく使えないと得点につながらない。

復元答案を見ると、不正確もしくは誤った知識に基づく記述が意外に多い。正しい知識をしっかりと身につけることが大前提となるのは、言うまでもない。さらに最も重要なことは、提示された資史料を分析・読解し、その上で設問の意図に沿って論述することであり、論点の方向性が正しければ高得点も十分に望める。その際、自らの考えを明確に表現する採点者に明確に伝わるようにする、ということを意識して欲しい。

以上のように、東大の論述問題は提示された資史料を読み解く分析力・思考力、それを的確に伝えるための表現力・文章構成力が問われていると言えよう。これらのことを踏まえて、論述力をつけていく必要がある。常に読み手を意識しながら、設問の意図通りに適切な文章を書く、というのは結構難しい。いきなり答案用紙のマス目を埋めていっても、合格答案にはならない。

したがって、通常の学習時間の中に論述対策の時間を設けて、日常的に“書く”という訓練をする必要がある。それによって思考力や文章構成力が身につき、さらに“書く”ことによってはじめて歴史の“文脈”が自分のものになっていくことを忘れないで欲しい。

そのための素材として、東大の過去問や代々木ライブラリーの『東大入試プレ問題集』、市販の論述対策の問題集に目を通す。それらの解答・解説によって歴史的背景の理解を深めるとともに、何に注意して論述し学習すべきなのか、その指針を自らつかむことが大切である。

地道な作業となるが、それこそが最難関大を突破するための、もっとも効果的な対策なのだ。

SAPIX YOZEMI GROUP「2011-2012 winter東大合格プロジェクト」より転載

次回は、「東大入試《地歴》問題の傾向&対策 世界史」を掲載予定です。

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