第20回 東大入試《地歴》問題の傾向&対策 地理

東大研究室

地理

2011年度までの出題傾向

[全体の出題構成]

長年、大問3つで今年度も同じであった。大問の内訳は概ね、系統地理分野が2問地誌分野が1問である。しかし、独立した地誌の大問は2008年度以降は出題されておらず、全体として系統地理の傾向が強い

とはいえ、小問には実質的に地誌問題と見なし得るものがあり、地誌の学習を怠ってはならない。なお、2011年度は大問ごとの解答量がきわめて不均等で、とくに第1問の解答量が多かった。

[特徴的な出題内容]

自然と人間生活の接点となる第一次産業、環境問題などの出題頻度が高く、都市、人口に関する問題もよく出る。また、自然環境との関連が深い農牧業や食料問題にも注意したい

地誌では、地図が用いられることが多い。地域的には特定の偏りは無い。したがって苦手な地域が無いよう、全地域を網羅的に学習する必要がある。

[出題範囲]

広範囲から出題され、また系統地理分野では融合問題が増えてきているので、的を絞ることは難しい。また、日本関連の問題は毎年出題されている。

[解答形式]

論述問題を中心に記号選択短答記述などの客観問題も出題されている。論述問題の小問の字数は1行(30字)以内、2行(60字)以内、3行(90字)以内、4行(120字)以内がある。

論述問題では2つないし3つの指定語句を全部使用し、指定語句には下線を引く指示のあるものもある。2011年度はこの形式が3問あり、いずれも指定語句は3つであった。

このほか、指定語句をすべて使用するのではなく、10前後の語群から適当な語句を任意に選択して解答に用いる形式もあるが、2009年度以降は出題されていない。

2012年度入試に向けての対策

論述問題には、1行(30字)以内から4行(120字)以内まで、様々な字数がある。2012年度入試においても、各設問に簡潔で的を射た答案を作成する能力が求められる、と見てよい。

[全般的な対策]

自然環境、農牧業、環境問題、人口、都市など、出題頻度の高い分野に重点を置いて学習を進めること。その上で、地理的事象と人間活動との関わりを常に念頭に置きながら、答案を作成する。

また、日本に関する問題の対策も怠らないこと。過去問をよく見ておくほか、他の国立大や有名私大の問題を活用して、地図や図表の読解力を養成しよう。

また、短答記述問題が重要な得点源になることに注意を払いたい。

[2011年度入試から見た特記すべき対策]

2011年度で各大問間に問題量の差が大きかったことは、2012年度入試において注意されるべきである。

第1問の解答量が多かったということは、配点も高かったと思われる。

2011年度の第1問は「自然と人間」、第2問は「資源と環境」、第3問は「日本の人口と人口移動」であったため、自然分野が得意な受験生は有利であったろうが、逆に苦手な者は厳しかったであろう。問題ごとの解答量の多少にあわてないよう、苦手分野の払拭に努めよう。

また、第1問に地形図が出題されたが、過去には2002年度に地形図の読図問題が20年ぶりで出題され、その後、2009年度、2011年度と続いての出題となっている。2011年度の問題は2009年度と比べ、本格的な読図演習を積んでいないと解答しにくいものであった。

地形図の出題頻度は高くはないが、北大・京大・筑波大などの地形図問題に一通り目を通しておくと良い

SAPIX YOZEMI GROUP「2011-2012 winter東大合格プロジェクト」より転載

次回は、「東大入試プレ問題〈英語・問題〉」を掲載予定です。

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