第13回 東大合格に必要な学力とは?〈英語・リスニング〉

東大研究室

英語・リスニング

東大は「コミュニケートするための英語の実技力を試す」という方向を打ち出しているが、これは英語の運用力を試す、ということにほかならない。

問題は例年、要約、長文段落補充、自由英作文、リスニング、文法、下線部訳、読解総合などから成る。ごく一部を除けば、すべて運用力を問う問題であり、2010年度もこの傾向は変わらなかった。一見、取り組みやすいような印象を与えても、実際に解答を作成する段階になって、総合的な英語の運用力の差が如実に出るような設定になっている。

ストレートな知識を試す問題がほとんど無く、どの問題もよく錬られていて、幅広い基礎力の上に立った英語の運用力が試され、しかもその要求水準は相当に高い。したがって、英語を使いこなす力が不足している人にとっては、全体としてかなり歯ごたえのある問題となっている。以下、読解、文法・作文、リスニングに分けて見ていく。

読解

要約問題
問1の(A)では例年、要約問題が出される。英文読解力は言うまでもなく、英文の要点を簡潔な日本語にまとめられる国語表現力が重要な鍵となる。こうした力は、一朝一夕で身につくものではないので、早い時期から地道に演習を重ねて鍛え上げていく必要がある。
段落整序長文問題
(B)では、段落整序長文問題が出される。過去4年間、ほぼ同じ形式が踏襲されており、決して難しくはない。この読解問題では、文章の論理的な流れを追うことが一番大切になるが、それに加えて英文の総語数が700語を超えるので、かなりの速読即解力が要求される。また、行き詰まった場合の柔軟な頭の切り替えも、重要になる。
下線部和訳
問4の(B)では、下線部和訳が課される。構文がとれないようなものではないが、日本語化するのが難しい箇所が狙われる。要約のところでも述べたが、日本語表現力は一朝一夕で身につくものではなく、継続的な練習の積み重ねによって磨かれていくものだ、ということを忘れてはならない。
読解総合問題

問5の読解総合問題は、2010年度、総語数が前年より若干増えて約980語だった。設問は多岐に渡るが、全体としては取り組みやすい問題だった。

2010年度は伝記文だったが、この読解総合では例年、小説文や物語文の出題が圧倒的に多い速読即解力に加えて、状況把握感情のくみ取りなど、独特の読みが求められる。

どちらかと言えば、この種の英文に不慣れな諸君が多いはずだから、ふだんから意図的に練習を積んで、その独特のリズムに慣れるようにしておく必要がある。

文法・作文

英作文
問2の(A)では、英作文が課される。これまで日本文の要約、手紙文の完成、4コマ漫画の説明、質問にYes/Noの両方から答える問題など、さまざまな形式で出題されてきたが、2010年度は与えられた英文に続けて50〜60語で書く自由英作文問題が出された。「日常的な事柄を平易な英語で表す」練習の積み重ねが大事である。
誤箇所指摘問題
問4の(A)では、前年に引き続き誤箇所指摘問題が出された。英文中の、文法上取り除かなければならない1語を答えるものだが、簡単に正答が得られるような問題ではない。文法にとどまらず、文脈の把握も求められるので、相当に高度な問題となりうる。

リスニング

リスニング問題は、紛らわしい設問が一部に見られるものの、全体的には取り組みやすい。それでも東大のリスニングは、国公立大の問題の中では分量・内容ともに最高レベルを維持しており、配点も高いと推測される。

実際、非常に凝ったリスニング問題を次々に出題してくる。これは、対策の立て難さを意味するかもしれないが、冷静に考えれば「確実な聴解力を付けることが先決」ということを示唆しているだろう。

本物の英語のリスニング能力を身につけるには、地道に英語のシャワーを浴びるしかない。英検1級・準1級やCNNニュースなどハードなものにも挑戦し、とにかくナチュラル・スピードの英語を数多く聞くことである。

書き取りも課されるが、冠詞や前置詞などの弱く読まれる語を含む部分や、連音の箇所が狙われやすいので、文意の繋がりをよく考え、さらに文法知識を駆使することが重要である。

SAPIX YOZEMI GROUP「2011 spring東大合格プロジェクト」より転載

次回は、「2012年度 東大入試選抜方法」を掲載予定です。

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