東大・前期試験の特徴
東大前期試験の特徴は、2次試験の教科・科目数が多いことと、最終合格判定におけるセンター試験の配点を2次試験の1/4に換算することである。そのため合格は2次試験で決まると言っても過言ではない。
各類間の難易順位を合格最低点で見ると、文科はほぼ毎年文Ⅰ>文Ⅱ>文Ⅲの順、理科は理Ⅲが突出して、理Ⅰと理Ⅱはほとんど差がない。
東大の前期日程全体の志願者数は増減が小さいが、以下のような要因で変動が見られる。
第1は前年の結果の影響。2000年以降東大では合格最低点等の情報を公開しているので、倍率のみならず合格者成績の前年状況が受験生の動向に影響を与えている。
第2はセンター試験の成績。受験生はセンターの得点を考慮して出願する科類を決めるので、受験者の得点が高まると「強気傾向」が、逆の場合には「弱気傾向」が支配的になる。
東大の前期試験は、文科・理科のそれぞれの中では入試科目・入試問題・配点が共通だから、直前の志望変更ができることも、志望科類の流動性を高めている。
東大後期試験の特徴
東大後期では100名を「全科類(理科三類を除く)」として募集する。合格者は、入学手続の際に所属科類を選ぶ(理科三類を除く)。
後期の特徴は、
(1)募集人員が少ない(100名)
(2)センター成績は第1段階選抜のみに利用し、最終合格判定には利用しない
(3)第2次学力試験は「総合科目」であり、Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの3種類が課される
などである。
「総合科目」の内容は英語、数学(Ⅲ・Cまで)、国語、地歴などであり、総合科目の解答時間は各々2時間である。
この方式は2008年から実施され、志願者数は漸減傾向にある。
2008年は総合科目が数学Ⅲ・Cを含んでいたため理系受験生に有利だったが、2009年から総合科目Ⅲに世界的要素が加わり、文系・理系を問わず手強い試験内容となったため、最終合格者の最低点は低下している。
センター試験の変更に関連して
2012年はセンター試験の変更に伴い東大のセンター受験科目の指定も次のように変わる。
(1)「現代社会」「倫理」「政治・経済」は選択不可、新設の「倫理、政治経済」が選択可に。
(2)前期の文科各類では、地理歴史で2科目が選択可に。
これにより、理科各類では「現代社会」「倫理」「政治・経済」の選択が不可となり、やや負担増になる場合もある。
文科各類ではセンター試験と前期2次試験の地理歴史の選択科目を揃えると、公民(センター用)の受験は不要になる。
なお、前期・後期の第2次試験の試験科目等には変更の予定はない。
SAPIX YOZEMI GROUP「2011 summer東大合格プロジェクト」より転載
次回は、『「東大とは?」その組織 歴史 人物…』を掲載予定です。