数学
今年度の医学部入試の問題をいくつか取り上げて、その内容と対策について述べます。
国公立の旭川医科大学の場合
最初に、国公立の旭川医科大学で出題された問題を見てみましょう。
問題1が平面幾何・三角比、問題2が平面ベクトル、問題3が微分法・極限、問題4が微分法・積分法・極限の計4問が出題されました。
大学入試でよく出題される確率は出題されていません。大学によってよく出題される分野には差異があるので、自分の志望校の傾向を早めに調べておきましょう。
国公立の医学部の志望者は成績優秀な者が多く、それに応じて問題自体も難しいので、夏休み中に演習を積んで力をつけましょう。また、センター試験対策も入念にやること。
私立の東京慈恵会医科大学の場合
次に、私立の東京慈恵会医科大学の問題を見てみると、第1問が小問集合で、図形と計量・確率・高次方程式・命題の証明、第2問が軌跡・2次曲線、第3問が空間ベクトル・数列の極限の計3問が出題されました。
私大入試では、第1問が小問集合であることが多く、比較的易しい問題が多いので確実に点を取れるようにしておきましょう。
第2問、第3問はかなり難しい。私立の医学部の中でも最難関のグループに属しているので、志望者は十分に演習を積んで力をつけなければなりません。
一方、私立の医学部の中には比較的易しい問題を出題しているところもあります。大学によって出題傾向は異なるので、早めに志望校の出題傾向や難易度を調べて、それに応じた対策を取ることが望まれます。
防衛医科大学校の場合
最後に防衛医科大学校の入試について見てみましょう。特徴の1つとして、実施日が早いことがあります。昨年の1次試験は、10月30・31日に実施されました。
試験内容は、択一式の試験(英・数・国の3教科を合わせて試験時間が90分。そのうち、数学は15問出題された)と記述式の試験(数学は4問が出題され、試験時間は100分)があります。
択一式の問題は難問ではないが、ある程度の計算をしないと解けません。3教科で均等割すると試験時間は30分しかないので、全問解くのはかなりきついでしょう。記述式の問題は、医学部入試としては標準的なレベルの問題が出題されるので、国公立大の医学部や難関私大医学部を目指す者には、併願するのにちょうどよいレベルの試験でしょう。
仮に受験しなくても、よい演習になるので択一と記述の問題の両方について、解答時間を意識しながら答案作成してみるとよいでしょう。これに限らず、自分が志望する大学や同レベルの他大学の入試問題を解いて答案作成を行うのは実力をつけるのに有効なので、ぜひチャレンジして欲しいと思います。
英語
国公立2次
医系単科大は別として、問題は基本的に他学部と共通です(一部の大問を医学部受験者専用としている大学はあり)。国公立大では記述問題が大半を占めており、和訳や内容説明を中心とした長文読解+和文英訳か、自由英作文に会話文や何らかの客観問題が付加される形がほとんどです。
医学部受験者は全般的に高学力ですから、合格者はある大問(もしくはその一部)を必ずとっていて不合格者はそこを丸ごと落としている、というケースは考えにくく、全体的な答案水準の高さが問われるもの、と見たほうが良いでしょう。
ただし一般的傾向としては合格者は客観問題を確実に拾っているケースが多い、と言えます。客観問題ではーよほどの難問を除いてー「正解」が確実に得られる場合が多いが、記述問題では一医学部受験者の水準でもー減点は免れないからです。
たとえば東北大の場合、他教科の難度からいって英語では出来れば8割近い得点を挙げたいところでしょう。特にどの大問が難しいということはないので、全体を通してきちんとした日本語と英語が書けるか?という力が問われてきます。
和訳では構文・文型を外さない、内容説明問題では求められている論点を外さないなど、減点されても最小限で済むような骨格の確かな答案が求められます。
東京医科歯科大では例年、“超”長文が1題だけ出題されます。今年度は「バイオモニタリングの利点と限界」といった内容でしたが、300〜400字の内容説明問題があり、ここの書き方で点差がつきます。
北海道大や旭川医大では英問英答が出題され、千葉大では久しぶりに古典的な和文英訳が出題されました。英作文でいかにミスの少ない英文を書けるかが、当然合否に関係してきます。
京都大の今年度リスニングはやや専門性の高い内容でした。
私立大
国公立大と違って学部単位で出題されるため、医学や健康を題材とした長文が出題されやすくなっています。客観問題が主体で分量も多いのが特徴で、処理スピードが要求されます。
また文法や語彙・語法を単独で(あるいは長文と読解問題のなかに)出題する大学が多く、過去問をよく研究しておく必要があります。
防衛医科大は、1次試験の択一式で英・国・数3科目併せて90分という時間内に、長文を1題読んで15の設問に答える、というスピードが必要要求されます。記述式でも、大問7題を100分で解答するスピードに加え、そのうち2題の要約問題をこなす確実な記述力が要求されます。
SAPIX YOZEMI GROUP「2011 summer医学部合格プロジェクト」より転載
※2012年度の京都大学の医学部入試におきましては、リスニングの試験は課されません。
次回は、『2011年度 医学部入試問題分析〈物理〉』を掲載予定です。