Y-SAPIXランクとは
Y-SAPIX公開模試受験者データや本科生の合格実績をもとに独自に算出した、大学・学部ごとの難易ランク (偏差値) です。Y-SAPIX公開模試でこのランクに達することが「合格への指標」となります。
中1生 講評
2018年10月28日(日)に実施した「トップレベル模試/論理力評価テストSRT」の講評・得点分布グラフです。
英語
採点・添削した先生からのメッセージ
得点分布グラフ

本模試は、リスニング、文法、図表の読み取り、対話文読解、説明文読解と、5つの形式で成り立っており、英語を「聞く・書く・読む」能力がバランス良く身についているかを問う試験となっています。これらの能力は別個のものではなく、例えばリスニングの力をつけると速読=読む力がついたり、文法の正確な知識をつけることで、英作文=書く力がついたり、といったように、互いに関連し合う要素と言えます。本模試で思うように結果が残せなかった人は、自分の学習法を改めて振り返ってください。毎日音声に触れているか。英文の音読はしているか。単語は例文を実際に書いて覚えているか、など、中1、中2の時期に地道なトレーニングによって身につけた能力は、今後の英語学習において貴重な財産となります。できていないことは明日からでもすぐに実行しましょう。
- 第1問【リスニング】
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問1は、初対面の男女が挨拶の後、自分の家族について語るという設定の対話を聞いて、女性に関する質問に答えるという形式です。対話の流れにおいて意外な展開はなく、おおまかな内容を聞き取れていれば正解できる問題でした。女性の名前はNatalie (ナタリー) ですが、ニックネームがNicky (ニッキー) なので、Natalie=Nicky であることを認識することが正解への鍵となります。
問2は、二人の学生が、体育祭に向けた今後のスケジュールについて話す内容を聞き取る問題でした。問1と比較すると対話が長いので、正答率も少し下がっています。事前に設問に目を通したり、聞き取った内容をメモしたりするなどの工夫が必要になってきます。リスニング問題の正答率を上げるには、放送された英語を正確に聞き取ることはもちろんのこと、様々なリスニング問題を経験し、問われる箇所を予測できるようになることが重要です。 (1) , (2) の質問は共に疑問詞Whenから始まっているので、放送内容の中でもとりわけ「時」に関する発話には意識を傾けるべきでした。また、 (3) は Is Ken able to run fast? という質問でしたが、Yes, he does. という誤答を選ぶケースが少なくありませんでした。内容を理解しているものの、文法的なミスで失点してしまうこともあります。
- 第2問【文法】
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疑問詞、現在進行形、助動詞、命令文、There構文、前置詞の用法と、これまでに学習した文法単元の定着度を測る設問です。 (1) は There 構文と前置詞 on の用法を問うものでしたが、非常によくできていました。一方 (2) では、助動詞 have to ~ は理解しているものの、前置詞by「~までに」が入らずに失点してしまうケースが散見されました。 (3) は現在進行形の is sleeping が正解となる問題でした。be動詞と一般動詞の区別ができていないとis sleepとしたり、be 動詞を補わずに、最初の空欄に sleeping を入れてしまい、二つ目の空欄に何も入らない、というパターンになってしまいます。Part Cの (5) , (6) の整序英作文は6割以上の受験者が正解していましたが、 (5) においては、it’s / its の混同、 (6) においては <How many+複数形名詞> の形が定着していないことによって引き起こされる誤答がありました。ミスをしてしまった人は、中2に進級する前に、もう一度基本的な文法をおさらいして、基礎力を固めましょう。
- 第3問【図表の読み取り】
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問1は図表の内容に関する質問に、英語で答える問題です。英文の質問を正確に理解すると共に、正しい英語で答える必要があるため、文法的なミスで減点される解答が多くありました。 (1) では、時刻に用いるat, 曜日に用いる on を正しく運用できていない解答が目立ちました。 (3) は There 構文の疑問文ですが、答える時は Yes, there are. / No, there aren’t. と、there を用いて答えることをおさえておきましょう。
問2で正答率が低かったのは、空欄Zです。ミスの原因として考えられるのは、① exerciseの意味がわからなかった、②「平日は忙しくて時間がない」という内容を読み取れなかった、の2点が考えられます。解き直しをする場合は、自分がどうしてミスをしたのか、そしてどんなことを知っていれば正解できたのかを追究してください。
- 第4問【対話文読解】
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梯子から落ちて病院に運ばれた男性が、意識を取り戻した後に医師とかわす対話文です。この状況設定に気付けるかどうかが、全体理解の鍵を握っています。問5は正答率が4割ほどで、選択肢の英文がやや難しいですが、状況を理解していれば正解を選べるはずの問題でした。対照的に問4 (a) は、不規則変化動詞の知識の有無を問うもので、内容的には理解していても、正確に綴りを覚えていないと正解できません。やはり、知識と経験をバランス良く積むことが重要です。
- 第5問【説明文読解】
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ガラパゴス諸島の環境、自然に関する説明文です。問1は[1],[2]共に4割程の正答率ですが、空欄の前後の内容から考えて適切な文を補充するというタイプの問題に、慣れていない受験者が多かったようです。解説をよく読んで、正解の導き方を学びましょう。問2はガラパゴス諸島周辺の海の特徴について説明する記述問題ですが、「第3パラグラフから読み取る」という条件が付いています。他のパラグラフ (段落) からの情報を述べると減点対象となってしまいます。記述問題は、書いた答案の中で加点できる要素がいくつあるかで点数が決定されます。解答を作成する時に、自分なりに要素はどれなのか予測すると、書くべき部分と書く必要のない部分の選別ができるようになってきます。
数学
採点・添削した先生からのメッセージ
得点分布グラフ

中1トップレベル模試の手応えはいかがだったでしょうか。今回は計算、平面図形、代数の応用、空間図形、動く図形など様々な単元から出題をしました。どの問題も、今後発展的な内容を学習する上での土台となる問題なので、足りない知識や考え方があれば必ずおさえておきましょう。また、その知識や考え方を定着させるためには類題を繰り返し解くことが有効です。
- 第1問【代数の小問集合】
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正負の数、文字式、方程式、連立方程式の計算を出題しました。今回間違えた問題がある場合は必ず解き直しておきましょう。
(1) はほとんどの生徒が正解しています。正負の数の計算は、計算順序や累乗を計算する際の符号に注意しましょう。
(2) の文字式の計算は分配法則を利用する際の符号に注意し、同類項をまとめましょう。
(3) の文字式の乗除は間違えた答案が多く見られました。特に単項式どうしの除法は間違えやすいので、丁寧な計算を心がけましょう。数の部分と文字の部分に分けて計算するとよいでしょう。
(4) 、 (5) の方程式・連立方程式はよくできていましたが、間違えてしまった場合は解法の確認と計算過程を確認して、間違いの原因を探りましょう。
- 第2問【幾何の小問集合】
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大学入試では図形的センスを要求されるケースはそれほど多くありませんが、図形の力があると解法の幅が広がったり、計算量を減らすこともできます。しかしながら、学習しなくなると身に付けた解法もすぐに錆びついてしまい、今回それを痛感した生徒も多いと思います。図形問題に触れる機会を定期的に作っておきましょう。
(1) は図が与えられていない図形問題です。文章のみで状況が書かれていて、図が与えられていない図形問題に出会うことが今後増えてきます。そのときは、問題文の順序にしたがって、まず自分で図を描くようにしましょう。
(2) は2.25という誤答が多く見られましたが、3:4:5の直角三角形はこの問題とは関係ありません。知識に頼るのではなく、利用できそうな合同や相似な図形が無いか手を動かして探してみましょう。
(3) はよくできていましたが、帯分数や小数の表記の答案が多く見られました。今後は仮分数を使うようにしましょう。
- 第3問【代数の応用問題】
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(1) は問題文の意図を正確に理解できているか問う問題で、多くの生徒が解けていました。
(2) は得点が整数であることから、bの値が2の倍数であると見抜けていたものの、誤答である b=-2 を含めてしまっていた答案が多く見られました。求めたbの値に対応するaの値が存在するか1つずつ確認しましょう。
(3) は1回目の目の出方は正しく2通り導けているものの、2回目の得点を-0.5点としてしまった答案が多かったです。問題文には「2回目が終わったときの得点が-0.5点」と書いてあり、さらに問題文の例も合わせて読むと、2回目の得点は-5点であると読み取れます。2回目の得点が-5点であることが読み取れれば、あとは1回目の目の出方によって場合分けをして、残りの目の出方から丁寧に最大値と最小値を求めていくことになります。複雑に見える問題であっても、細かく分けて考えることによって解きやすくなることがあります。これは、今後の学習の中でも必要となる重要な考え方です。
また、この (3) では答えに至るまでの途中過程を書かせる記述問題として出題しています。記述問題は相手に理解させるように書かなければなりません。自分だけが分かる表現では評価されません。日ごろから、自分の考え方を他者に理解させることを意識してノートに途中過程を書いて問題を解くと良いでしょう。
- 第4問【空間図形】
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空間図形の基礎が身についているか確認する意図で出題しましたが、全体的に出来具合がそれほど良くありませんでした。
空間図形は大学入試でも出題されます。これまでに学習した考え方などを忘れないよう学習していきましょう。
空間図形が苦手な生徒へのアドバイスとしては、空間図形は適切な平面で考えて解くことが大事です。複数の平面に分けて考えていきますが、1つ1つの平面における考察は難しくありません。今回の問題では平面を抜き出して考えていく問題はほとんど出題していませんが、難しい空間図形の問題では意識して解くと良いでしょう。
また、2でも多く見られましたが、4も単位を勝手につけてはいけません。問題文に単位が無い場合は単位をつけずに答えましょう。
(1) は切り取られる立体が三角すいであることを見抜きましょう。間違えてしまった場合は三角すいの体積の求め方を確認しておきましょう。
(2) は最短距離の問題です。展開図上で考えて解くことさえおさえておけば難しくはありません。
(3) は類題に触れたことがない生徒は難しいと思いますが、解答解説を読んで学習してみてください。
- 第5問【動く図形】
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3と同様に問題文がやや長く、状況を把握しきれなかった生徒も少なくなかったのではないでしょうか。
(1) ① は (ア) と (イ) はよくできていましたが、 (ウ) を0としている答案が多くありました。これは長方形ABCDが途中で止まることを考慮していないと予想されます。
(1) ② は面積を文字式で表して一般化していく問題で、5の問題の中で一番重要です。 (1) ① でも図を1つずつ描いて解いたと思いますが、 (1) ② でもxのとりうる値の範囲に応じて、図を描いて解きます。2つの長方形が重なってできる長方形の2辺の長さをxを用いて表していきます。こちらも (ア) と (イ) は比較的よくできていましたが、 (ウ) は間違えている答案が多かったです。
また、式は正しくても文字式の表し方として適切でない答案が多かったです。
(1) ③は2つある解答のうちの片方のみが正解である答案が多かったです。
(2) は3点が一直線上にある状況の図が正しく描けているものの、うまく立式できていない答案がほとんどでした。
今回は (1) ① でxが具体的な値のときの状況を考えさせた上で、一般化された問題を解いていきましたが、今後は (1) ① のような具体化された問題が無く、一般化された問題がいきなり出題されることもあります。状況が把握できていない状態で、最初から文字で考えようとすることは難しいです。そのようなときは、まず自分で具体的なときを考えてみましょう。 (1) ① のような x=6,x=9,x=30のときどうなっているかを図を描くなど、手を動かしてみましょう。状況を把握できたら、文字を用いて考えるようにしてみましょう。このように具体化→一般化という流れで問題を解くことは数学ではとても重要な手法です。
動きのあるものを文字でおいて捉えていく手法は出題頻度が高いため、類題を解いて文字のおき方や式の立て方を身につけましょう。
国語
採点・添削した先生からのメッセージ
得点分布グラフ

今回のテストでは、現代文二題、古文という構成で総合的な国語力を問う内容を出題しました。全体的に記述問題に対して積極的に取り組んでいました。しかし、すべての要素を踏まえた解答を出すことができていないものが多くありました。得点が思うように伸びなかった人、記述問題で部分点しかとれていない人は、どの要素が抜けてしまっていたのか、誤読はなかったかをしっかりと確認するようにしましょう。漢字については比較的よく書けていたと思います。ただし小さなミスが多いのもまた漢字でした。そのようなミスが積み重なると大きな失点となってしまいますので、正確に記述するように心がけてほしいと思います。自分の答案と模範解答を今一度照らし合わせ、どの部分を見落としてしまったのか、記述問題の要素はどれだけ的確に捉えることができていたかを復習しましょう。次回はただ書くのではなく、「正確に書く」ことを心がけて問題を解くようにしましょう。
- 第1問【論説文の読解】
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記号選択問題については、全体的によく解けています。問1~3については正答率も高く、文章の内容を理解できています。記述問題については、説明しなくてはならない要素をおさえきれていないものが散見されました。本文をそのまま書いても点数にはなりませんので、自分の言葉で内容を説明できるようにしましょう。
問4では、「医師の決定だけではない」という要素が欠落している解答が多く、専門家としてしまっている部分が「医療の現場における話」であるという前提条件と合致していないために得点できていませんでした。また、不確定要素についても、「科学の不確実性」「患者の選択」の二つが必要です。この二つはどちらかが上回っているのではなく、同等の不確定要素として記述する必要があります。その点を踏まえて自分の解答内容を見直しておくようにしましょう。
問5については要素を比較的とらえて記述することができていました。しかし、完答できているものは少なく、理系の専門家も人文系の素養が必要であるという要素が抜けてしまっている解答が多かったです。記述問題では、傍線部の内容を過不足なく説明することができているかを確認しながら内容をまとめるように意識してまとめていきましょう。
- 第2問【随筆文の読解】
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大問1と比較すると正答率は高くありませんでした。特に問4、6の正答率が低いです。まず記述問題は白紙の解答も目立ちました。時間が足りないなどの理由もあるかもしれませんが、まずは記述しないと得点になりません。時間配分を考えて、白紙になってしまわないように戦略をたてることも重要です。内容についてですが、いきなり書き始めてしまうのではなく、問われているものに答えきれているかを余白にメモし、内容を確認しながら取り組むようにしましょう。
問4は記号選択問題でしたが誤答が多かったです。記号選択問題は選択肢の吟味は当然必要ですが、まずは記述問題と同じようにある程度解答を想定してから選択肢を見るようにしましょう。ある程度解答すべき内容が固まっていれば選択肢も選びやすくなります。また選択肢間で迷うことも少なくなります。
問6についても誤答が多かったです。「指先」と「掌」が何を表しているかを正しく把握しましょう。どちらが何の作品を象徴している作品かを確認して、それぞれを説明している選択肢を選びましょう。一見すると正しく見える選択肢でも、よく内容を吟味して必要な要素が全て網羅できているか、しっかりと確認するようにしましょう。
漢字問題は読みの問題でも誤答が散見されました。特に「均衡 (きんこう) 」は正答率が低かったです。また、「装置」「精度」も画数の変わってしまう続け字で書いてしまうために誤答になったものもありました。漢字問題に限ったことではありませんが、楷書ではっきりと字は書くようにしましょう。
- 第3問【古文の読解】
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古文が全体的に学習不足です。歴史的仮名遣いの問題などは今から学習できる内容ですので、今回を機にしっかりと確認しておくようにしましょう。古文では主語がしばしば省略され、それが誤読を引き起こします。古文を読む時は、日頃から主語は何かを意識して読むようにしましょう。
古文は文系理系問わず、必要な科目です。古文は苦手意識を持ちやすい科目ですが、しっかりと基礎を固めて、文章読解ができるようにしていきましょう。古文の復習方法はまずは口語訳を読むこと。自分がどこで誤読してしまったのか、古文単語の意味は何か、その話の教訓はなにかなど、自分が理解しきれなかった部分を、口語訳を参考に復習し、次回以降は同じミスを繰り返さないようにしましょう。
古文の学習も漢字などの知識問題と同じようにすぐに読めるようにはなりません。学習した時にその分は定着させられる様にして、効率よく古文の学習をすすめられるようにしてください。
SRT解釈
採点・添削した先生からのメッセージ
SRTの解釈探究は文章、図表、対話文などの複数の資料を正確に読み取り、分析を加え、自分なりの意見を表現する力を試しています。日頃から書籍や新聞、ニュースなどに触れ、他の人と話し合ったり自分の意見を表現したりしている人には、解きやすい問題だったと思います。
- 第1問【小問集合】
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大問1は討論などの場面を想定した、論理的な思考力を試す問題です。問1は図表の適切な読み取りを試す問題で、よくできていました。問2と問4は討論において重要な「反論」の力を試す問題で、どちらもよくできていました。問4は反論を自分で考える問題ですが、後ろへのつながりも考慮する必要があります。つながらない内容、例えば財源のことなどを書いているものは不適切です。問3は、下線部のどちらが手段でどちらが目的かを見抜く問題で、見慣れない問題だったと思いますが、よくできていました。
- 第2問【読解と意見論述】
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大問2は、ボランティアが誤解を受けやすいことを論じた文章Ⅰと、ボランティアに行く人の内面的な動機について述べた文章Ⅱを組み合わせて出題しました。2つの文章を適切に組み合わせて活用する力が求められています。
問1は、下線部の「日本中のたくさんのボランティアの経験するところ」を説明する問題でした。下線部と問題の指示から考えると、下線部の前に書いてある「この人」の具体的な経験を書くのではなく、一般化して書く必要があります。具体的な内容のみのものは減点しました。また、「誤解や批判を受ける」というところで終わっているものが散見されましたが不十分です。「それによって沈黙を選ぶようになる」という内容まで含むものに満点を与えました。問2は、「ボランティアをどういうものと考えるからか」という指示の抜き出し問題でした。「聖人」「偽善者」といった「人」を表す言葉を選んだ誤答や、「自己を犠牲」のような語句として完結していない誤答が目立ち、正答率は低くなりました。問3は下線部「それでは救われない」の理由を書く問題でしたが、主語を姑などの「助けられる側」であると誤解している答案が目立ちました。「主婦が」、精神的に「それでは救われない」という正しい意味で解釈した人は、比較的よく書けていました。問4は内容合致の問題でしたが、不正解選択肢であるア、イ、エを選んだ人がかなりいました。アは「他者に対して示す」が不適切、イ、エはいずれも文章内でボランティアとは対極にあるものとして位置づけられているため、不適切です。問5は会話文中の空欄を補う問題で、よくできていました。問6はボランティア経験を大学入試で考慮することについての自分の意見を書く問題でした。内容は比較的よく書けていましたが、論の展開や言葉遣いにおいて、しゃべっている言葉をそのまま書いたという印象の答案が目立ちました。意見文では、自分の主張や根拠、具体例などを書く前に整理し、読み手が理解しやすいように順序を考え、文章にふさわしい言葉を選んで書くことが必要です。
SRT数理
採点・添削した先生からのメッセージ
論理力評価テストSRTの数理探究のできはどうだったでしょうか。今回は論理的なパズルのような問題、対話文等やや長い問題文を読みこなし、問われたことに答える問題、そして理科の知識を背景とする問題等様々な問題を出題しました。
試験時間が45分とやや短めだったこともあり、時間が足りなかったという人も多くいると思われます。解答解説を参考にし、時間無制限でじっくりと取り組んでみてください。思考力や確実な読解力を培っていきましょう。
- 第1問【小問集合】
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長い問題文を読み、与えられた規則を正確に理解し、それぞれの問いに答える力を測ることを中心にして、様々な力を複合的に問う問題を並べました。
問1は、規則に従ってマスの上にある石を動かし、石が到達することができないマスの数を答える問題です。規則を把握することができれば容易に答えることができる問題で、よくできていました。問2は、4人の人が4つの部屋に1人ずつ入っているとき、与えられたヒントから誰がどの部屋に入っているか考える問題です。この問では、ヒントの中に四郎さんが1回しか出てこないことに着目すれば、残りはひとつずつ決定していくことができます。同じタイプの問題でもより条件が複雑になってくると、登場回数のもっとも多い人について場合分けした方がよい場合もありケースバイケースです。問3は、与えられたデータに対して、3人の人がそれぞれの主張を掲げ、各人の主張をもとに分析する問題です。どの人の主張を採用するかにより、結果は異なります。それぞれの主張を理解すること、およびそれをもとに正確な計算の実行が必要となります。計算ミスと思われる答案が多くありました。計算ミスが多いという方は、計算力の強化に今すぐ取り組むようにしてください。問4は、理科の問題です。ただし、理科の特別な知識が必要ということではなく、しっかり題意をつかむことができれば比例の問題になります。表面的なことに戸惑われた方は、本質がなにかを把握できるように、確実な読解力を身につけたいです。
- 第2問【最小費用流】
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決まった量をネットワーク上で始点から終点まで流す際にかかる費用の最小値を考える問題のことを最小費用流問題とよびます。これについて、太郎さんと花子さんのやや長めの対話文を読みながら、一緒に考えていきます。太郎さんが掲げた主張を鵜呑みにするのではなく、花子さんのように批判的かつ論理的に考えることができたでしょうか。
問1は、規則が把握できているかを問う問題で、全体的によくできていました。ただし、管ごとに毎月送ることができる水の量は上限があり、ここでの太郎さんの主張は一般に正しくありません。問2は、表の中のわからない数字を、2つの条件をもとにして、決定していく問題です。文章題としては、シンプルなものだと思いますが、難しく感じた人やかん違いしてしまった人も多くいらっしゃったのではないでしょうか。解答解説集では、まだ未習の方がいらっしゃるので、不等式を用いない解答を掲載しましたが、不等式を既習の方は不等式を用いて考えてみるとスッキリと解けることを実感して頂けると思います。不等式を未習の方は、不等式を学んだ後この問題に再チャレンジしてください。数学の新しい言葉を知ることにより、いかに思考の幅を広げることができるか知ることができると思います。問3は、管ごとに毎月送ることができる水の量の上限により、水が廃棄されてしまう状況を説明する問題です。完全な記述式の問題です。どの部分にどれだけ水が流れてくる (原因) 、しかし上限がこれだけである (理由) から廃棄されてしまうというように、2つのポイントをもれなく答えなければいけません。自分の中ではきちんとわかっているようですが、言葉が足りないという答案が続出しました。記述式の問題ですから、2つのポイントが答案に記述されていないと点数にはなりません。数学や理科を正しく理解するためには、ひとつひとつの事象をごまかすことなく完全に記述することが必要となります。早いうちから記述力を身につけるように、努力を続けていきましょう。また、問2でまちがえて求めた数値を、この問3にそのまま使ってしまっている答案が多くありました。誤答が連続してしまわないように、細やかな見直しを習慣づけていくようにもしていきたいです。問4は、ふたたび対話文を読みながら条件について考えていきます。前半の会話よりも少し入り組んだ会話になってきていますが、太郎さんと花子さんの主張を全体的に理解し、適切な解答を考えなければいけません。確かな読解力が必要とされます。最後に問5は、そもそもの目的であった費用の最小値を考える問題です。
- 第3問【物理分野】
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大問3は、自然界の法則を発見するための探究方法、つまり仮説の設定と実験による検証を問う設問でした。
問1は、Aさんの考えに沿った実験条件を数値で問うものでした。正答率は比較的高かったですが、誤答には実験3の結果を先取りして答えたものや、xとyが表す長さを勘違いしたとみられるものがありました。
問1 (1) のようなグラフの読み取りは実際の大学入試でもよく出題されます。グラフの意味をもう一度よく考えてみてください。 (2) は重心の求め方を問う設問で、解答解説のように計算する方法のほか、実際に実験で求める方法を答えた答案もありました。 (3) は条件Ⅰ・条件Ⅱの文章を見本にすればよく、記述しやすかったようです。
問3はまず積木3つを安定して積むために必要な条件を考えた上で、やや長い文章を読み、どのような操作をしているか順を追って理解していく必要があります。かなりの難問で、最後のzまで正解できた人は自信を持ってよいでしょう。
中2生 講評
2018年10月28日(日)に実施した「トップレベル模試/論理力評価テストSRT」の講評・得点分布グラフです。
英語
採点・添削した先生からのメッセージ
得点分布グラフ

今回のトップレベル模試は、リスニング、文法、英作文、長文読解の出題を通して、中2のこの時期までに必要な英語力が身についているかを問いました。思ったように得点できた人も難しく感じた人も、改めて英語の学習について見直す機会にしましょう。大問1のリスニングはゆっくりと読み上げており聞きやすかったと思いますが、うまく聞き取れなかった人は日頃の学習に音声を積極的に取り入れるようにしましょう。大問2や大問3で思うように得点できなかった人は、これまでに学習した時制や助動詞、比較、不定詞、動名詞、分詞などの重要単元の理解が十分か、復習をしっかりと行ってください。大問4の英作文では、複数の情報をもとに書く内容を決定する必要がありました。的外れな内容を書いてしまった人は、どこに着目すべきであったか見直してください。大問5の長文読解では、英語を正確に読み取り、設問に対して簡潔な日本語で解答をまとめ上げる力があるかを問いました。失点が多かった人は英語の文章の読み方を見直しつつ、日ごろから語彙力を強化するような学習習慣をつけるようにしましょう。中2から中3にかけて文法の理解を確かなものにし、様々な文章を読みこなすための語彙力をつけることが英語を道具として使うためには必要不可欠です。日々の努力が必ず実を結びますので、学習の中に音声も取り入れながら地道に取り組んでいきましょう。
- 第1問【リスニング】
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全体的に良くできていました。特にPart Aはどの設問も正当率が高く、基本レベルの英文の聞き取りであれば、多くの人が問題なく対処できているようです。Part Bでは、問1 (1) と問2の内容理解に関する設問でやや正答率が落ちました。リスニングでは聞き取った内容を英語の語順のまま理解する必要があります。普段からまとまった長さの英文を音声情報のみで理解するための練習を積んでください。また、ナチュラルスピードに近い音声でも対応できるように、少しずつ早い音声の聞き取りにも慣れていくようにしましょう。
- 第2問【適語補充】
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中2までに学習した文法事項が定着しているかを問いました。 (2) (3) (6) の出来が良かったです。 (4) の比較構文に関する設問では、前後の流れから「テイラー氏の実年齢は見た目の年齢ほどではない」という関係を読み取る必要がありました。2行程度の短い文ですが、常に文脈を踏まえて考える意識を持ちましょう。しっかりとした文法知識は正確なコミュニケーションをとるために不可欠なものです。これまでに学習した文法事項がしっかりと身についているか、今一度確認してください。
- 第3問【正誤判定】
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問われている内容は基本的なものですが、大問2に比べるとやや正答率が落ちています。 (1) の三人称単数現在形のsについては、大問4の英作文でもミスが見られました。中1で学習する内容ではありますが、英作文の際に忘れてしまいがちなポイントでもあるので注意してください。 (4) では現在完了形の文におけるforとsinceの区別を問いましたが、あまり出来がよくありませんでした。問題形式に関わらず、学習した知識を適切に運用できることが求められます。
- 第4問【条件英作文・資料読解】
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Part Aの英作文に関しては、多くの人が書くべき内容を理解できていました。特に (1) の正答率が高かったです。ただ、 (1) で主語をIにしていたり、Lucy don’t… のように書いたりと、不注意による間違いをしている答案がいくつかあったのが気になりました。 (2) では、ケンの母親の発言をもとに、さくら寿司のディナーが「高すぎる」という内容を書けばよかったのですが、ポイントがずれている答案もいくつかありました。また、主語と述語がそろっていないなど、英文として成立していないものも見られました。基本的な文からでよいので、日頃から自分の言葉で英文を書く練習を積むようにしましょう。Part Bの (1) はかなりできていましたが、 (2) で少し正答率が落ちました。「10歳未満は半額」という内容に注意して計算をする必要がありました。
- 第5問【物語文読解】
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イギリスの小さな町にある図書館が、建物の移転に際して直面した問題と、それをどのように解決したかが描かれた短い物語文を用いて読解力を問いました。問1は意外に正答率があまり良くありませんでした。動詞の過去形・過去分詞、形容詞や副詞の比較級・最上級で不規則な活用をするものに関しては、1つずつしっかりと暗記するようにしましょう。問2では、one difficult problem の具体的な内容が直後に書かれていることは理解できていました。ポイントは「新しい建物に本を移動させるのに」「お金と時間がかかる」というところでした。「時間」に言及していない答案が目立ちました。問2① では、「一度に借りられる本の数を4冊から6冊に、本の貸し出し期間を4週間から6週間に増やした」という内容を本文から読み取れたかがポイントでした。本文中に日付や期間を表す表現がいくつか出てきますが、a good plan の内容がどの部分で説明されているのかを見極める必要がありました。② では、「利用者が新しい建物に本を返却した」「引越しが楽にできた」という2つのポイントが必要でした。両方のポイントに言及できている答案はほとんどなく、本筋とは関係のない内容の記述に字数を割いてしまったものも多く見られました。今後、英語の知識を積み重ねていくことで、読める英文の幅も広がっていきます。日々の積み重ねを大切にして、着実に英語力をつけてください。
数学
採点・添削した先生からのメッセージ
得点分布グラフ

計算問題、図形、1次関数、場合の数、図形の証明を出題しました。基本的な問題が中心ですので、できなかった問題は必ず復習して、今後に備えましょう。
- 第1問【代数の小問集合】
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計算力はすべての基礎になります。計算力がつくと、条件の不足に気づくことができたり、処理にどれくらい時間がかかるかなどが判断できるようになります。また、計算だけで解ける問題が多くなると、いろいろなアイデアや工夫が不要になります。毎日、計算練習をして、計算力をつけていきましょう。
(1) はミスが目立ちました。 ( ) の中身の計算や符号ミスなどに注意しましょう。
(2) は1次方程式です。分母をはらう、符号に気を付けるなどに注意しながら処理しましょう。
(3) は2元1次の連立方程式です。ミスが目立ちました。必ず正解したい問題です。
(4) は平方根の計算です。まだ、平方根に慣れていない受験生も多いと思います。たくさん計算練習をしましょう。
(5) は2次方程式です。分母をはらって、因数分解します。復習して解けるようにしておきましょう。
(6) はよく出題される問題です。10がいくつできるかを考えましょう。解答解説で確認しましょう。
- 第2問【幾何の小問集合】
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(1) は相似な図形の計量です。相似比を用いて辺の長さを考えましょう。
(2) は円弧に関する問題です。円弧がでてきたら、「半径と中心角」に着目しましょう。したがって、必要があれば「中心角を文字でおく」こともあります。
(3) は立体図形の展開図です。立方体の展開図をイメージして、立方体から角を切り落とした立体を考えることができます。
- 第3問【1次関数】
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(1) はよくできていました。図形Fの式とはF上の点が満たす式のことです。式を求め方だけに注目するのではなく、根本を理解するようにしましょう。
(2) は点Bの座標だけの正解が目立ちました。平行四辺形の性質の中で、「対角線は互いの中点で交わる」ことは重要です。今回の場合は、線分OCの中点と線分ABの中点は一致します。
(3) は平行四辺形の面積を求める問題です。四角形の面積が簡単に求めることができない場合は、四角形を対角線で切って、2つの三角形に分けて考えましょう。三角形の面積であれば、求めやすいはずです。
(4) は難しい問題でした。点Pのy座標を文字でおくと、△PABの面積を文字で表すことができます。座標平面上での線分の長さを文字で表すことはできるようにしておきましょう。必ず復習してください。
- 第4問【場合の数】
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場合の数は「丁寧に数える」、「対等性に着目する」ことが大切です。「対等性」とは「同じ数え方をするもの」です。また、有名なアイデアや工夫をする問題もあるので、それらはこれから勉強していきましょう。
(1) は5本の縦線から2本、5本の横線から2本選びます。
(2) は地道に数えましょう。出来はよかったです。
(3) は難しい問題でした。2300個という誤答が多かったです。2300個の中には三角形ができないものが含まれています。三角形ができないのは、3点が同一直線上に並ぶ場合です。規則性に着目しながら、三角形ができないものを数え上げましょう。
- 第5問【合同な図形】
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合同や相似な図形は闇雲に探すのではなく、回転移動、対称移動をイメージしながら探しましょう。今回は回転移動です。
また、 (1) は出来に差がでていました。うまく書けている答案も多く見られました。
(1) はJL=NNM,LN=MKまでは言えている解答が多かったです。∠JLN=∠NMK が言えたかどうかがポイントです。
また、合同や相似の証明では合同条件や相似条件は書くようにしましょう。
(2) は△JLN≡△JOKを示す方針は見えている答案は見られました。角度を文字でおいて、数式から角度が等しいことを導きましょう。
国語
採点・添削した先生からのメッセージ
得点分布グラフ

今回のテストは、現代文、古文の読解問題に、漢字などの知識問題も加え、幅広い国語力を試す出題を行いました。長めの記述問題も出題しましたが、空欄の目立つ答案はほとんどなく、意欲的に書く姿勢が見られました。全体的には、文章はよく読めており、記述も基本的な要素は含まれているものがほとんどでした。あとは満点が取れる答案を目指して、より題意に沿った詳しい解答を書けるようにしていきましょう。古文の読解については知識が不十分です。古文の部分で失点が大きい場合には、まずは古文本文を音読し、その後古文単語を確認しながら口語訳を読み込むようにしましょう。主語や物語の主旨を正しく把握し、次回以降は同じ間違いをしないように古文になれておくことが重要です。古文単語はただ暗記するのではなく、文章の内容からどのような意味で使用されているかを確認しながら復習していくとよいでしょう。
- 第1問 論説文の読解
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本文全体の流れは正しく把握することができていました。漢字の問題もよくできていましたし、選択肢の問題も概ね正答できていたと思います。語彙は日頃の積み重ねが重要です。今回ミスをしてしまった場合は、語彙をまとめるノートを作成し、知識を一括しておくとよいでしょう。
問3、5は、抜き出し問題でしたが、部分点はありませんので過不足抜き出すことが必要です。また誤字脱字も誤答になってしまいますので、注意して抜き出すようにしましょう。せっかく該当箇所がわかっているにも関わらず、何らかの要因で誤答になってしまうのはとてももったいないことです。抜き出し問題だからといって油断することなく細心の注意をはらうようにしましょう。
問7は、設問指示を守れていない解答が多かったです。特に「多面的」という語を使用しなくてはならないところを「多面性」としてしまっているものが多数ありました。設問指示については特に注意して、内容を理解しているにもかかわらず、失点してしまうという状況にならないようにしましょう。また、後の文に続く形で解答する場合も注意が必要です。細かい部分に注意して解答を出すことはどのような問題でも必要です。今回ミスをしてしまった場合は、今一度注意するように心がけましょう。
- 第2問 小説文の読解
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文章がやや難解なものでしたが、正答率は悪くありませんでした。記号選択の問題は、選択肢間の吟味が必要ですが、どの部分が本文と対応しているのか。本文と正しく対応していても、設問内容に沿ったものになっているかどうか。理由を聞かれているのに、説明しているだけの選択肢になっていないかなど、確認すべき点は多々あります。記述問題の方が自分の想定する内容を自由に書けるので解きやすいケースもあります。選択肢の問題もしっかりと内容を吟味して、完答をめざすようにしましょう。
小説文は登場人物、情景、そして心情を正しく把握する必要があります。また記述問題では、誰のどのような心情かがわかるように記述することも重要です。問4の問題では、「娘」が具体的に誰であるか、「ミーナ」は伯父にとってどのような存在であったか、伯父は現在どのような状況か、そして、その伯父に対して「朋子」はどのような心情を抱いたかを明確に記述する必要がありました。いずれかが抜けても失点の原因になりますので、どの部分が欠けていたかを模範解答を見直しておくようにしましょう。
現代文の読解が全体として得点ができなかった人は、本文の内容を復習するために200字~300字程度で文章の要約を作成してみましょう。要約を作成することで文章の内容を整理することができますし、読解した内容を深めることもできます。また、記述問題では最後に句点が必要ですし、漢字についてはつづけ字や簡略文字の使用は不可です。字は丁寧に、はっきりと、濃く書くようにしましょう。
- 第3問 古文の読解
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今回の古文は大意をとるのはさほど難しくない文章です。口語訳を読めば内容は理解できたと思いますが、実際の試験の時には読めたが、何を言いたいのかわからない、という感想を持ったかもしれません。理解が不十分だったと感じている人は、まずは口語訳を確認するようにしましょう。古文の学習は、問題だけを解き直しても不十分です。しっかりと音読できるか。文章中にわからない古文単語はないか。口語訳を自分である程度することができるかなどを確認しながら復習するようにしてください。
現代仮名遣いや主語の把握については基本の問題です。ミスをしてしまった人はしっかりと復習しておきましょう。
問3は、文章の内容が正しく把握できているかを確認する問題でした。主語をしっかりと判断できていたかを確認しましょう。「やがて」という古語は「すぐに・そのまま」という意味です。「やがて」とそのまま書いているものは得点になりません。また、死んだ猿が「妻」であって、死んだ猿に抱きつき、そのまま死んだ猿が「夫」であったのだろうと本文に書かれています。この部分を誤読してしまった場合は、口語訳と本文の内容を今一度確認するようにしましょう。
古文をしっかり読み解くには、基本的な知識と慣れが重要です。全体的に古文の出来はよくないです。基本的な問題も出題していますので、ミスの内容を確認し、同じミスはしないように丁寧に学習するようにしましょう。
- お詫びと訂正
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大問2問4の解答用紙につきまして、指定字数40字以上50字以内のところ、40字分の解答欄しかありませんでした。
なお、当該問題につきましては、字数・文末表現を不問として採点いたしました。訂正いたしますとともに、ご迷惑をおかけしましたことを、深くお詫びいたします。
SRT解釈
採点・添削した先生からのメッセージ
SRTの解釈探究は文章、図表、対話文などの複数の資料を正確に読み取り、分析を加え、自分なりの意見を表現する力を試しています。日頃から書籍や新聞、ニュースなどに触れ、他の人と話し合ったり自分の意見を表現したりしている人には、解きやすい問題だったと思います。
- 第1問 小問集合
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大問1は討論などの場面を想定した、論理的な思考力を試す問題です。問1は図表の適切な読み取りを試す問題で、よくできていました。問2と問4は討論において重要な「反論」の力を試す問題で、どちらもよくできていました。問4は反論を自分で考える問題ですが、後ろへのつながりも考慮する必要があります。つながらない内容、例えば財源のことなどを書いているものは不適切です。問3は、下線部のどちらが手段でどちらが目的かを見抜く問題で、見慣れない問題だったと思いますが、よくできていました。
- 第2問 読解と意見論述
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大問2は、ボランティアが誤解を受けやすいことを論じた文章Ⅰと、ボランティアに行く人の内面的な動機について述べた文章Ⅱを組み合わせて出題しました。2つの文章を適切に組み合わせて活用する力が求められています。
問1は、下線部の「日本中のたくさんのボランティアの経験するところ」を説明する問題でした。下線部と問題の指示から考えると、下線部の前に書いてある「この人」の具体的な経験を書くのではなく、一般化して書く必要があります。具体的な内容のみのものは減点しました。また、「誤解や批判を受ける」というところで終わっているものが散見されましたが不十分です。「それによって沈黙を選ぶようになる」という内容まで含むものに満点を与えました。問2は、「ボランティアをどういうものと考えるからか」という指示の抜き出し問題でした。「聖人」「偽善者」といった「人」を表す言葉を選んだ誤答や、「自己を犠牲」のような語句として完結していない誤答が目立ち、正答率は低くなりました。問3は下線部「それでは救われない」の理由を書く問題でしたが、主語を姑などの「助けられる側」であると誤解している答案が目立ちました。「主婦が」、精神的に「それでは救われない」という正しい意味で解釈した人は、比較的よく書けていました。問4は内容合致の問題でしたが、不正解選択肢であるア、イ、エを選んだ人がかなりいました。アは「他者に対して示す」が不適切、イ、エはいずれも文章内でボランティアとは対極にあるものとして位置づけられているため、不適切です。問5は会話文中の空欄を補う問題で、よくできていました。問6はボランティア経験を大学入試で考慮することについての自分の意見を書く問題でした。内容は比較的よく書けていましたが、論の展開や言葉遣いにおいて、しゃべっている言葉をそのまま書いたという印象の答案が目立ちました。意見文では、自分の主張や根拠、具体例などを書く前に整理し、読み手が理解しやすいように順序を考え、文章にふさわしい言葉を選んで書くことが必要です。
SRT数理
採点・添削した先生からのメッセージ
論理力評価テストSRTの数理探究のできはどうだったでしょうか。今回は論理的なパズルのような問題、対話文等やや長い問題文を読みこなし、問われたことに答える問題、そして理科の知識を背景とする問題等様々な問題を出題しました。
試験時間が45分とやや短めだったこともあり、時間が足りなかったという人も多くいると思われます。解答解説を参考にし、時間無制限でじっくりと取り組んでみてください。思考力や確実な読解力を培っていきましょう。
- 第1問 小問集合
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長い問題文を読み、与えられた規則を正確に理解し、それぞれの問いに答える力を測ることを中心にして、様々な力を複合的に問う問題を並べました。
問1は、規則に従ってマスの上にある石を動かし、石が到達することができないマスの数を答える問題です。規則を把握することができれば容易に答えることができる問題で、よくできていました。問2は、4人の人が4つの部屋に1人ずつ入っているとき、与えられたヒントから誰がどの部屋に入っているか考える問題です。この問では、ヒントの中に四郎さんが1回しか出てこないことに着目すれば、残りはひとつずつ決定していくことができます。同じタイプの問題でもより条件が複雑になってくると、登場回数のもっとも多い人について場合分けした方がよい場合もありケースバイケースです。問3は、与えられたデータに対して、3人の人がそれぞれの主張を掲げ、各人の主張をもとに分析する問題です。どの人の主張を採用するかにより、結果は異なります。それぞれの主張を理解すること、およびそれをもとに正確な計算の実行が必要となります。計算ミスと思われる答案が多くありました。計算ミスが多いという方は、計算力の強化に今すぐ取り組むようにしてください。問4は、理科の問題です。ただし、理科の特別な知識が必要ということではなく、しっかり題意をつかむことができれば比例の問題になります。表面的なことに戸惑われた方は、本質がなにかを把握できるように、確実な読解力を身につけたいです。
- 第2問 最小費用流
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決まった量をネットワーク上で始点から終点まで流す際にかかる費用の最小値を考える問題のことを最小費用流問題とよびます。これについて、太郎さんと花子さんのやや長めの対話文を読みながら、一緒に考えていきます。太郎さんが掲げた主張を鵜呑みにするのではなく、花子さんのように批判的かつ論理的に考えることができたでしょうか。
問1は、規則が把握できているかを問う問題で、全体的によくできていました。ただし、管ごとに毎月送ることができる水の量は上限があり、ここでの太郎さんの主張は一般に正しくありません。問2は、表の中のわからない数字を、2つの条件をもとにして、決定していく問題です。文章題としては、シンプルなものだと思いますが、難しく感じた人やかん違いしてしまった人も多くいらっしゃったのではないでしょうか。解答解説集では、まだ未習の方がいらっしゃるので、不等式を用いない解答を掲載しましたが、不等式を既習の方は不等式を用いて考えてみるとスッキリと解けることを実感して頂けると思います。不等式を未習の方は、不等式を学んだ後この問題に再チャレンジしてください。数学の新しい言葉を知ることにより、いかに思考の幅を広げることができるか知ることができると思います。問3は、管ごとに毎月送ることができる水の量の上限により、水が廃棄されてしまう状況を説明する問題です。完全な記述式の問題です。どの部分にどれだけ水が流れてくる (原因) 、しかし上限がこれだけである (理由) から廃棄されてしまうというように、2つのポイントをもれなく答えなければいけません。自分の中ではきちんとわかっているようですが、言葉が足りないという答案が続出しました。記述式の問題ですから、2つのポイントが答案に記述されていないと点数にはなりません。数学や理科を正しく理解するためには、ひとつひとつの事象をごまかすことなく完全に記述することが必要となります。早いうちから記述力を身につけるように、努力を続けていきましょう。また、問2でまちがえて求めた数値を、この問3にそのまま使ってしまっている答案が多くありました。誤答が連続してしまわないように、細やかな見直しを習慣づけていくようにもしていきたいです。問4は、ふたたび対話文を読みながら条件について考えていきます。前半の会話よりも少し入り組んだ会話になってきていますが、太郎さんと花子さんの主張を全体的に理解し、適切な解答を考えなければいけません。確かな読解力が必要とされます。最後に問5は、そもそもの目的であった費用の最小値を考える問題です。
- 第3問 物理分野
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大問3は、自然界の法則を発見するための探究方法、つまり仮説の設定と実験による検証を問う設問でした。
問1は、Aさんの考えに沿った実験条件を数値で問うものでした。正答率は比較的高かったですが、誤答には実験3の結果を先取りして答えたものや、xとyが表す長さを勘違いしたとみられるものがありました。
問2 (1) のようなグラフの読み取りは実際の大学入試でもよく出題されます。グラフの意味をもう一度よく考えてみてください。 (2) は重心の求め方を問う設問で、解答解説のように計算する方法のほか、実際に実験で求める方法を答えた答案もありました。 (3) は条件Ⅰ・条件Ⅱの文章を見本にすればよく、記述しやすかったようです。
問3はまず積木3つを安定して積むために必要な条件を考えた上で、やや長い文章を読み、どのような操作をしているか順を追って理解していく必要があります。かなりの難問で、最後のzまで正解できた人は自信を持ってよいでしょう。
中3生 講評
2018年10月21日(日)に実施した「トップレベル模試/論理力評価テストSRT」の講評・得点分布グラフです。
英語
採点・添削した先生からのメッセージ
得点分布グラフ

今回のトップレベル模試は、中学の英語を一通り学習したこの時期に挑戦してほしい水準の問題となっています。リスニング、長文読解、英作文を中心に、現段階での総合力を測る形としました。記述問題を多く出題しましたが、これは英語を道具として使いこなせることを目指してもらいたい、というメッセージが込められています。そのためには、「聞く」「読む」「書く」「話す」練習をバランスよく取り入れることが効果的な学習方法です。ただ闇雲に多くの分量をこなせばよいというものではありません。少なくとも、「正しく書く力」「正しく話す力」については、適切な添削・指導を通じて身につけられるものです。思うような結果が残せなかった人は、この機会に自分の学習法を振り返ってみましょう。
- 第1問【リスニング】
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リスニングの力は一朝一夕に身につくものではありません。地道に、継続的に耳を慣らしていくことが鍵となります。[A]は、問題はシンプルであるものの、一度しか放送されない形式で出題したので、高い集中力が求められました。国名は聞き取れていても、それぞれの国の順位を細部まで聞き比べ、完璧に理解できた人は少なかったです。[B]は、聞く力と読む力をいずれも必要とする問題でした。4技能とはそれぞれが独立したものではなく、互いに連関しているものであると意識して日々の学習を積み重ねていきましょう。
- 第2問【文法】
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今回の文法問題では、比較・動詞の語法・不定詞・分詞・動名詞・現在完了・接続詞・代名詞の分野から出題しました。中学生のうちに身につけておきたい基本的な英文を集めました。いずれは、このレベルの英作文ができるようになることを目指してよく復習しましょう。その中で気になったのは、 (1) boys、 (5) going といった誤答が目立ったことです。「any other の後ろは単数形」「look forward to の後ろには (動) 名詞」といった英作文の基礎となる表現を確実に身につけましょう。
- 第3問【英作文】
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今回の英作文問題では、読解した対話文の内容をふまえて英作文をする形式で出題しました。大問1[B]と同様、技能横断型を意識したものです。外国人旅行客が増えてきた昨今、英語で道を尋ねられるケースが増えてきています。できる限り身近な素材を通じて英作文の力を測りたいという意図のもと、今回は道案内の出題にしました。ぜひ高校生になる前に基本的な内容を表現できるように英作文の力を磨いていきましょう。
また、その他にも日本語の記述問題を多く出題しました。長文読解では、細部に目を配ることも当然重要ですが、大局を把握する力も同じくらい重要です。今回の記述問題では、おおむね要点を整理できている答案が目立ちました。今後はさらに長い説明文に取り組む機会が増えていくことでしょう。その際に、「筆者は結局、この長文で何を伝えたかったのか」「それぞれの段落の要点は何か」をまとめる習慣作りが必要不可欠です。
- 第4問【長文読解】
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2つの独立した説明文読解を通じて、精読の力がどの程度身についているかを測りました。特に本文の内容に合う選択肢をすべて答える形式の問4は、この模試の中でも最も正答率の低い問題の1つという結果でした。一部紛らわしい選択肢も含まれているため、誤答を選んでしまった人は解説を読んで復習しましょう。
- 第5問【長文読解】
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海外の人が来日した際の出来事を記したエッセイ調の長文を出題しました。boring と bored の使い方を間違えてしまったことが原因で、コミュニケーションが円滑に進まなかった体験談を筆者が述べています。よく理解できていることが伝わってくる答案も多かったのですが、「分かってはいるけれどもうまく記述できない」もどかしさが垣間見える答案も目立ちました。
また、感情の英語表現について正しい用法を知っていた人と知らなかった人との間で、理解度・正答率に差が生じています。高校生になるまでには確実に身につけたい分野ですので、あまり出来のよくなかった人はこの長文をきっかけに、文法・語法の重要性を再認識してよく復習しましょう。
- 第6問【資料の読みとり】
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複数の資料を読みとり、その内容を正確に把握できているかを測る形式で出題しました。チラシ、ウェブサイト、手紙 (メール) といった身近な媒体から抜粋して、そこに記載されている内容がどの程度理解できているかを試す問題がますます増えていくことが予想されます。複雑な英文構造をじっくり思考し解釈するというよりは、スピード感を持って情報を整理し問題を処理していく力が求められます。間違えた問題がある人は、解説を参考にして「どこに書かれている情報を誤認してしまったのか」を追求し、復習するとよいでしょう。
数学
採点・添削した先生からのメッセージ
得点分布グラフ

中3トップレベル模試の出来はいかがでしょうか。基本的な問題から応用する問題まで幅広く出題しましたが、苦手な部分も発見できたのではないでしょうか。既に高校数学を学習している人もいるでしょうが、今回はすべて中学数学の知識で解ける問題です。分からなかった問題については解答解説をよく読み復習しましょう。また、解けた問題についても自身の解法と解答解説を比べてみると良いでしょう。これから高校生になると本格的に数学を学んでいきますが、問題を解くまでの途中の解法記述がより大事になってきます。模試の中には記述問題もありましたので、解き直しした際は誰かに見てもらうことをお勧めします。
- 第1問【小問集合】
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やや工夫が必要な問題も含まれていますが、高得点を取りたいところでした。
(1) は大変よく出来ていました。計算順序などの確認です。
(2) は普通に展開しても良いですが、√6-3を√3でくくると (2乗) - (2乗) の形になり、計算が楽になります。
(3) は連立方程式を学習していれば解ける問題ですが、間違えている人が多くいました。うまく文字式の種類を減らし、整理することが必要になります。
(4) は2変数の差の範囲についての問題でしたが、和の形として捉えた方が考えやすいでしょう。
(5) の出来は良くなかったです。因数分解し積の形にすることで解を絞ることができます。整数問題ではよく使われる手法になります。
(6) は平方根の大小を考える場合、2乗して比べることがセオリーですが、今回はそうもいきません。片方を単項式にしてから処理するとうまくいきます。
- 第2問【代数演算】
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問題文で条件が与えられ、その条件に沿って解けるかどうかの問題です。
(1) はよく出来ていました。
(2) は式変形し、2次方程式として捉えることができれば解答できるはずです。当てはめて解く問題ではありません。
(3) は (2) の“5”が“a”に変化しただけですから、まずはxの値がどうなるか調べてみることが大切です。また、「示せ」とあるため、説明する問題ですが、長く書けばよいというものではありません。短く簡潔に分かりやすく記すことが美しい答案になります。
- 第3問【2次関数】
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後半にて図形の面積関係のことを問われていますから、図形の位置情報を得るために点の座標を求めることが大切になります。
(1) ・ (2) はよく出来ていました。この問題を間違えてしまうと、以降の問題で正解することが難しくなってしまいます。
(3) は (1) ・ (2) が正解していた人は確実に正解してほしい問題でした。
(4) はやや難しい問題でした。放物線で囲まれていますので、何をやってよいか分からなくなってしまった人もいると思います。
ところが、実質的には (3) が分かっていれば解ける問題であったはずです。放物線は軸に対して対称という性質を利用する問題でした。
- 第4問【空間図形】
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全体的に苦戦していたようです。ある程度の立体把握能力は欲しいところです。
(1) は誘導に従えば解けるはずの問題でしたが、中には三角錐の体積の求め方を忘れてしまった人もいるようでした。
(2) は対角線上の平面に注目できたかどうかがポイントです。立体の問題は平面で抜き出して考えやすくしていきましょう。
(3) は (1) ・ (2) を踏まえて解く問題でしたが、出来はよくありませんでした。計算の処理の仕方も解説を参考にしてみてください。
- 第5問【整数・場合の数】
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問題文が長いので、まずは意味をしっかりとおさえることが第一です。
(1) はよく出来ていました。実際に調べていっても解けるはずです。
(2) は文章からしっかりと考え方を理解できたかどうかです。最終的には不定方程式の問題となりますが、完答できた人は多くなかったです。
(3) は (2) を踏まえたうえで誘導なしで解く問題でした。出来はよくありませんでしたが、正解していた人もいました。
国語
採点・添削した先生からのメッセージ
得点分布グラフ

総合的な国語の力を問う問題でした。現代文では様々なジャンルが出題されますので、苦手なジャンルを作らないようにしましょう。内容を見直す際には、文章の要約を作成するなどして、内容を正しく把握できていたかを確認するとよいでしょう。大問3の古文については、学習が不十分な解答が散見されました。しっかりと古文を解く上での基本的な知識事項を復習し、今後は正しく読解できるようにしておきましょう。
- 第1問【論説文の読解】
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全ての設問において、よく取り組めていましたが、完全な正解に至っている解答は多くありませんでした。記述の問題は、まず時間配分を気にする必要があります。最後まで終わらなかった人は多くなかったようですが、文字やまとめかたが雑になってしまったり、解答に含めるべき要素が欠けていたりする解答が少なからず見られました。あらかじめ大問ごと、小問ごとの時間配分を決めておき、1問1問にしっかり取り組むようにしないと、不完全な解答になってしまいます。
また、文章中の一ヶ所だけを抜き出しに近い形で解答にしてしまっている人が多く見られました。解答となる該当箇所を文章中から探すのはいいのですが、それだけで解答になるとは限りません。該当箇所を咀嚼し、自分の言葉にすると、さらによい解答が作れます。加えて、傍線部の前後だけを見るのではなく、同じような内容が述べられた段落も参考にするなどの工夫が必要です。
限られた時間の中で完全な解答を作るのはかなりの集中力と技術が必要です。前に述べた点を手がかりに、今後の国語の学習に活かして下さい。
漢字問題については「閲覧」「連鎖」の正答率が低かったです。漢字や文学史などの国語の知識に関する問題については、地道な努力が必要です。一度ミスした問題は二度とミスをしないように知識をまとめたノートを作成するなどしておくとよいでしょう。
- 第2問【小説の読解】
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大問2では大問1以上に、部分点にも届かなかった解答が多くありました。記述問題は抜き出しに近い形では解答にならないため、注意が必要です。要素を網羅した解答を書き上げるためには、自分の解答の見直しが必要不可欠です。今回の問題を利用して、模範解答とどの部分が違っていたのか、欠けていた要素は何かを見直し、次回の模試に備えましょう。
具体的には問6の正答率がよくありません。選択肢の問題についてはよく解けていました。
問6で失点している人は、自分の書いた記述の内容のどこが不十分だったのかを確認し、今後は要素を意識して解答をまとめられるようにしましょう。心情についてまで言及しなくてはならない問題であるにも関わらず、状況の説明に終始している解答が多かったです。問われている内容に対して、明確な解答を出せているかどうか、見直しをするようにしましょう。
また大問1、2に共通していることですが、誤字脱字や句点抜けなどのミスが多いです。時間配分の関係で慌てて問題に取り組む気持ちはわかりますが、そこは焦らずに丁寧に解答をつくっていくようにしましょう。
- 第3問【古文の読解】
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古文の読解について、内容が全く読み取れていないような解答はありませんでした。しかし、この大問でも、的確に口語訳できている解答は多くありませんでした。部分点を取れていれば読み間違えていることはないのですが、やはり正解を目指すことが大切です。自分の解答と模範解答を見くらべてみて、どの要素が自分の解答に欠けているのかを復習しておきましょう。
文章全体をまとめる際には、何が要素として必要で何が必要でないかの取捨選択を厳密に行う必要があります。古文では最後の部分に筆者の意見が述べられていることが多くありますので、そこを中心に、前の部分で必要な部分を加える、という方法で考えると、より正解に近い解答を作ることができたと思います。
問4については、「同じくは」の意味を間違えているものが多かったです。「同じくは」は、「同じことなら」「どうせなら」という意味であり、「同じ内容」という意味ではないので、その部分を誤ってしまうと解答できません。また、下の句を詠んだのか、上の句を詠んだのか、その部分も誤読してしまった人が多かったようです。ミスしてしまった人は解答解説を復習しておきましょう。
文章内容の流れ、大まかな主旨は読解できていたと思いますので、助動詞の意味を正確に把握できていたか、主語は間違えていないか、解答に過不足はないかなどの細かい部分について、今後は意訳ではなく、しっかりと内容を把握することが今後の課題であると言えます。
古文単語や助動詞などの知識に関しては、日頃の積み重ねが重要です。間違えた部分をそのままにしていると同じミスを繰り返すことになってしまいますので、本文と口語訳を参照しながら、全文正しく口語訳できるかを確認するようにしましょう。
SRT解釈
採点・添削した先生からのメッセージ
SRTの解釈探究は文章、図表、対話文などの複数の資料を正確に読み取り、分析を加え、自分なりの意見を表現する力を試しています。日頃から書籍や新聞、ニュースなどに触れ、他の人と話し合ったり自分の意見を表現したりしている人には、解きやすい問題だったと思います。
- 第1問【小問集合】
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大問1は討論などの場面を想定した、論理的な思考力を試す問題です。問1は図表の適切な読み取りを試す問題で、よくできていました。問2と問4は討論において重要な「反論」の力を試す問題で、どちらもよくできていました。問4は後ろへのつながりから考えると人間関係・人付き合いを「学ぶ」という内容になっていることが望ましく、「友達と仲良くなれない」といった書き方のものは減点しました。問3は、下線部のどちらが手段でどちらが目的かを見抜く問題で、見慣れない問題だったと思いますが、よくできていました。
- 第2問【読解と意見論述】
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大問2は「忘れられる権利」をめぐる問題についてヨーロッパとアメリカの事例を具体的に論じた文章Ⅰと、その問題の根底にある思想の違いについて述べた文章Ⅱを組み合わせて出題しました。2つの文章を適切に組み合わせて活用する力が求められています。
問1は、ヨーロッパとアメリカの相違点と言えるものを選ぶ問題でした。オ、カ、キにやや誤答が目立ちました。ヨーロッパとアメリカが全文にわたって対比されて述べられているので、その違いを整理して読んでいきましょう。問2は、ヨーロッパで認められつつある忘れられる権利の例外を書く問題で、比較的よく書けていました。問3はヨーロッパとアメリカの根本的な思想の違いをまとめる問題で、しっかり書けている人とほとんど点にならなかった人に分かれました。設問に「文章Ⅱの内容を参考にして」とあるのに文章Ⅰの具体的な内容をもとに書いているものは、低い評価となっています。指定語「EU基本権憲章」は、ここでは「尊厳の重視」と結びつけて使うのが正しく、「個人情報機関の独立性」と結びつけているものは減点しました。「独立性」以前に、アメリカではそのような機関を置くこと自体が敬遠されているので、ヨーロッパとアメリカの違いを述べるときの説明としては不適切です。問4は、対話文中の下線部と同様の文を文章Ⅰから探す問題でしたが、文章Ⅰが長かったこともあり、苦戦した人が多くいたようです。抜き出す文の内容を頭の中で予想してから探すことが大切です。問5は実名報道についての自分の意見を書く問題でした。内容は比較的よく書けていましたが、論の展開や言葉遣いにおいて、しゃべっている言葉をそのまま書いたという印象の答案が目立ちました。意見文では、自分の主張や根拠、具体例などを書く前に整理し、読み手が理解しやすいように順序を考え、文章にふさわしい言葉を選んで書くことが必要です。
SRT数理
採点・添削した先生からのメッセージ
論理力評価テストSRTのできはどうだったでしょうか。今回は論理的なパズルのような問題、対話文等やや長い問題文を読みこなし、問われたことに答える問題、そして理科の知識を背景とする問題等様々な問題を出題しました。
試験時間が45分とやや短めだったこともあり、時間が足りなかったという人も多くいると思われます。解答解説を参考にし、時間無制限でじっくりと取り組んでみてください。思考力や確実な読解力を培っていきましょう。
- 第1問【小問集合】
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長い問題文を読み、与えられた規則を正確に理解し、それぞれの問いに答える力を測ることを中心にして、様々な力を複合的に問う問題を並べました。問1が易しく順に難しくなるというわけではなく、様々な分野から多岐にわたり出題したため、できはバラバラであり、得意な分野、不得意な分野がはっきりと反映された人が多かったようです。不得意な分野が浮き彫りになった人は、必ず復習を行い克服するように努めてください。
問1は規則に従って文字を数字に置き換える問題です。計算は易しめですが、必ずしもできがよいわけではありませんでした。ただ単に計算問題として出題したならば正解できた人でも、その前に規則性を考える必要があり戸惑われた人もいたことでしょう。問2は、規則に従ってくまなく図形の上を移動できるかを考える問題です。解答解説集では、華麗な方法を紹介していますが、その知識を問う問題ではありません (この機会にぜひ身につけてほしいものではありますが) 。限られた時間の中で規則を理解し、最適な解を探すことができるかどうかを測ることが目的でした。問3は長い問題文を読み規則を理解し、それをもとに論理的な推理ができるかを測る問題でした。解答が2つある問題でしたが、1つしか見つけることができていない人が多くいました。すべての可能性をねばり強く考えることを忘れないようにしましょう。問4は、光の進路の問題です。知識の有無だけではなく、与えられた条件を吟味すれば正解に辿りつくことも可能です。
- 第2問【橋渡りパズル】
-
太郎さんと花子さんのやや長めの対話文を読みながら、ある条件の下、橋を渡る時間についての問題を一緒に考えていきます。太郎さんが掲げた構想を鵜呑みにするのではなく、花子さんのように批判的かつ論理的に考えることができたでしょうか。
問1は、易しめの場合の数の問題です。問題文の規則を理解できるかどうかが問われますが、かん違いした人も多くいたようです。問2は、対岸からこちら側と、こちら側から対岸への移動にかかる時間をわけて考え、それぞれの場合に時間が最小となる渡り方を考え、それらを両方同時に行うことが不可能であることを論証する問題です。一方が最小となる場合を仮定すると、もう一方が最小となることはないという形で論証することが一般的です。このような場合の典型的な考え方なので、早いうちに身につけておきたいことのひとつです。このような論証に慣れていない方も多くいたようで白紙の答案も目立ちました。また、正解できている人の中でも、余計な部分がある人が多くいました。記述力を培うためには、自分の書いたものを先生等に添削してもらうことがもっとも効果的です。自分の書いたことが読んだ相手にきちんと通じているか、無駄なところがないか等ひとつひとつ反省することで記述力が身についてきます。根気のいる作業ですが、がんばりましょう。問3は、時間が2番目に少なくなる渡り方について考える問題です。こちら側から対岸と対岸からこちら側のどちらも最小となる渡り方は存在しないので、その次を考えます。花子さんの提案により、一般化して文字式で考えていきます。与えられた事象を、数学の言葉を用いて、一般化・抽象化して考えることにより、主観や思い込みに左右されることなく、論理的に解を導いていきます。問4では、問3で提案したことの正しさを確保するため、具体例を考えます。なんとなく話をすすめるのではなく、具体例を明示することにより、現実的に成り立つことを保証することを忘れてはいけません。以上の結果を踏まえて、問5で最初に掲げられた問題の正解に辿りつきます。
- 第3問【化学分野】
-
長い説明文を読み、一見複雑な自然現象をより単純な現象に分解し、それらを組み合わせることにより、深く理解することができる能力を測る問題であった。
問1 (1) は化学反応式の、原子の係数を求める問題であった。反応の前後で、原子の種類と個数が変わらないという法則を理解している必要があった。問1 (2) は、 (1) を踏まえて解答しなくてはならない。メタンガスと木炭の化学反応の違いが「水分子の生成の有無」であり、故に、「より乾燥できるのかどうか」が論述のポイントである。一つ一つ段階を踏んで論理的に論述する必要があったが、完答は難しかったようだ。
問2は、与えられた数字を的確に組み合わせて目的の数値を算出する問題。この思考過程は「フェルミ推定」とも呼ばれる。単純な計算が多段になっただけだが、正答率が極めて低かった。落ち着いて対処できるようにしたい。
問3は,燃焼反応の「連鎖」を理解し、その要素まで分解して理解することを求める問題であった。問題文の中にヒントを散りばめてあったので、それに気付ければ解答は容易であったはず。
問4は、引火点より低温では連鎖が続かないが、高温では連鎖が続くのはなぜ?と置き換えて考えて論述していただきたかった。論理がつながっていない記述が多く、特に正答率が低かった。一つ一つ論理をくみ上げて記述できるようになる為には、普段の生活や学習の際から、論理を組み上げて考える習慣を身に着けておきたい。
問5は、連鎖の要素を答える問題であり、大変良くできていた。
高1生 講評
2018年10月21日(日)に実施した「トップレベル模試/論理力評価テストSRT」の講評・得点分布グラフです。
英語
採点・添削した先生からのメッセージ
得点分布グラフ

本模試では、リスニング、文法語法、英作文、長文読解という形式の出題を通じて、多面的に英語力を問いました。その中で個々の問題を精査すると「読解力」と「記述表現力」という2つの大きな課題が浮かび上がります。間違えた問題を見直す中で、正解するにはどのような考え方が必要だったのか、どのような要素を盛り込めばよかったのかを考えることが、今後の英語力・得点力の飛躍につながります。
- 第1問【リスニング】
標準的なレベルの出題でした。説明的な文章を聴き、設問に対する解答を選ぶ問題です。早い段階で英文のテーマを把握し、内容を予測しながら放送を聴けるようにするとよいでしょう。設問にばかり気を取られ、全体の内容をつかむことができないと、全問正解するのは難しくなります。英文を声に出して読みながら、内容を理解していく練習を積み重ねていくとよいでしょう。
- 第2問【文法・語法】
Aでは正しいものを選ぶ、Bでは誤りを見つけるという形式で、英文を書く際にミスをしやすいものを中心に、文法・語法の知識を確認しました。A・Bともに全体的に出来がよくありませんでした。Aで多く出題した「接続詞」「動詞の語法」は英作文において特に重要なものです。Bの (2) 「できるだけ~」、 (4) One of the key reasons was… は英作文の頻出表現です。解説を見ておしまいにせずに、和訳を見て一から作文できるかどうかを確認すると、自分の文法・語法の知識が活きたものかどうかを知ることができます。
- 第3問【英作文】
-
2020年度以降の入試では、英作文が配点でますます大きな比重を占める出題形式になると予想されます。そこで本模試では、4長文読解1 の中の語句整序問題 (4点×2) を含めて合計64点分、全体の約3分の1を英作文問題にしました。Aの語句整序問題の正答率は比較的良かったものの、空所の前後を観察していないことによる誤答が目立ちます。例えば (1) の Would you kindly tell me how to get information on the requirements for application? を、 (×) get on information the requirements と間違えた答案が散見されました。音読すれば、information the requirements という名詞の並びに違和感を覚えるはずです。 (2) で動名詞の否定形〈 not + Ving 〉、 (3) で助動詞〈 may as well + 動詞の原形 〉について間違えた人は、文法知識としてインプットするのではなく、フレーズや文の形で身につけていきましょう。実際に自分一人で正しく発信する (書く・話す) ことができて初めて知識は役に立ちます。
Bの和文英訳については〈 Have you ever been to ~ ? 〉という表現が正しく書けている生徒が多くて安心しましたが、その一方で advice という語のミスが目立ちました。adviseは動詞で〈 advise + O + toV 〉「Oに~するよう助言する」という形でよく用います。advice は数えられない名詞なので (×) some advices とは書けません。つづりの短い語ほどその使用法に注意が必要でしょう。また、間接疑問文の作り方が理解できていない答案がほとんどでした。複数の内容が連続する場合に、どのように書けば英文として成立するのか、品詞や文構造をよく吟味して書くようにしましょう。一度書いた英文を客観視して、他の人が見たらどう映るのかという視点で見直すことも重要でしょう。
Cの自由英作は皆さん頑張って書いてくれましたが、「ペット=犬」というような思い込みで書いている答案が目立ちました。「たとえば、犬を飼えば~」という例示ならよいですが、「ペットは散歩に連れて行く必要があるので」「ペットは不審者が来たら吠えてくれるので」「自分が帰宅すると、ペットが駆け寄ってくれるので」という書き方しかしないのは、一般性に欠けます。ペットといっても、犬・猫・うさぎ・カメ・熱帯魚・インコ・カブトムシ…など、いろいろあります。したがって、明らかに犬だけを想定した書き方をしているものは減点しました。内容に汎用性があるかどうか、客観的に吟味してから書き始めましょう。また、weを使っているものも減点しました。第1の理由では主語をyouとしているので、第2の理由でもyouを用いるべきです。空所補充式の英作文では、形式的な統一性も考えなければなりません。自由英作の採点は「内容」「文法語法」の合計点です。文法語法のミスには波線を施すよう心がけましたが、波線がなくても2~4点引かれているものは、内容がいまひとつだったと考えてください。設問文の冒頭を繰り返しているもの (「だからペットを飼うのは良いことだ」) は語数稼ぎにすぎず、情報量が乏しくなってしまうので注意が必要です。同じ表現が繰り返されている答案も減点しています。じっくりと見直してみましょう。
- 第4問【長文読解1】
昆虫食を題材にして「読解力」「記述力」を問いました。問6では〈 in favor of ~ 〉〈 be open to ~ 〉などの易しい語を含む表現の和訳に挑戦してもらいました。知識があればそれに越したことはないですが、文脈からある程度は意味を類推できます。非常に出来の悪かった問4の語句整序作文・問5の下線説明問題も、すぐ近くにほぼ同一の構文、類似・対比表現があり、それが大きなヒントになっています。解説を熟読してください。下線や空所を含む文の前後の文も、丁寧に読む習慣をつけましょう。
- 第5問【長文読解2】
「水」に関する文章を題材にして「読解力」「語彙力」を問いました。設問もすべて英語だったので戸惑った人もいるかもしれませんが、今後の入試ではこの形式が主流になるでしょう。語彙力を和訳や日本語の説明問題で測る形式は徐々に姿を消し、ほぼ同じ意味の語句・表現は何かを問う形式がますます増えていくでしょう。2 ~ 4 と違って本問では、細部にこだわり過ぎず、段落・文章全体の要旨をすばやくつかみ、問われている内容に的確に答えることが問われています。とはいえ、皆さんが間違えた問題では、細部の読みがいい加減であることが原因のことが多いでしょう。解説を熟読して、自分に足りない部分を補ってください。
数学 ①
採点・添削した先生からのメッセージ
得点分布グラフ

高1トップレベル模試のできはどうだったでしょうか。今回の出題範囲は数学Ⅰ全てと数学Aの場合の数・確率でした。今回の模試は、高2での数学の学習をスムーズに始められる基礎ができているかどうかを測れる問題で構成しました。高1での数学の基盤の上に積み上げられる高2での数学は大学入試の大きな軸となります。今回好調だった人はおごることなく着実に学習を重ねてゆきましょう。不本意な結果に終わった人はまず手を動かしながら解答解説を熟読し、今回の模試の内容だけでも完全に身に着けることから始めましょう。
- 第1問【小問集合】
基礎となる知識や手法が定着しているかどうかを測れる小問を集めました。すべてまずまずのできでした。
(1) は多項式の係数についての問題です。難しくはないですが、うまく考えることができないと大きく時間を費やしてしまったかもしれません。
(2) は因数分解の問題です。基本に忠実に特定の文字について整理して考えればよいでしょう。
(3) は必要条件・十分条件についての問題です。「必要」「十分」のどちらがどちらだったか混乱する人がいますが、言葉の意味と正しく関連付ければ自然に判別できるはずです。
(4) は2次不等式の問題です。グラフを用いる考え方、因数分解を盛る考え方のいずれも理解しておきましょう。
(5) は台形を回転させてできる立体の体積を求める問題です。円すいの体積の差を計算することで求める体積を得ることができます。
- 第2問【2次関数】
-
定義域に文字定数aを含む2次関数の最小値m (a) について考える問題です。
(1) はaが具体的な数値の場合についての問題です。2次関数のグラフを描いて考えればよいです。よくできていました。
(2) は一般のaについて最小値を求める問題です。 (1) でみたように、定義域内のどの値で最小となるかはグラフである放物線の軸と定義域の位置関係で変わります。そこで、軸と定義域の位置関係で場合分けして考えることになります。なお、たとえば場合分けを a<1、1<a<3、3<a のようにしている答案は、a=1、3が抜けているので減点しています。
(3) はm (a) =m (a+6) となるaを決定する問題です。解答に示したようにグラフを用いるのが明快です。
- 第3問【確率】
-
サイコロを4回振るときの出る目の確率についての問題です。4回のサイコロの目の出方それぞれを根元事象とすればよいでしょう。 (4) 以外はまずまずできていました。
(1) は出る目の和が5になる確率を求める問題です。定義通りに条件を満たす根元事象の数をすべての根元事象の数で割ればよいでしょう。
(2) は出る目の積が偶数になる確率を求める問題です。「偶数でない」場合、すなわち奇数である場合の方が考えやすいことから余事象の確率を考えるとよいでしょう。
(3) は3の倍数の目がちょうど2回出る確率を考える問題です。反復事象の確率で考えればよいでしょう。
(4) は条件付き確率の問題です。条件付き確率を求めるには確率の比を考える方針と根元事象の数の比を考える方針とがありますが、本小問では確率の比の方が考えやすいでしょう。
- 第4問【図形の計量】
-
三角比や平面図形の性質を利用して立体図形の計量をする問題です。
(1) は三角形の外接円の半径を三角形の三辺の長さから決定する問題です。余弦定理と正弦定理を活用して解くことができます。三角比の活用例として、基本的かつ典型的な問題であるといえます。ある頂点から対辺に垂線を下してその長さを三平方の定理を活用して求め、三角形の相似に着目することで解くこともできますが、ここは今後のためにもぜひ三角比を用いる解法を身につけてほしいものです。垂線を下す解法で、垂線の長さと2辺の長さから外接円の半径を導く公式を用いている答案がありました。正しくはあるのですが、一般的に知られている公式ではありませんので、論述に用いるのは避けるのが無難でしょう。
(2) 以降は (1) が解けていないと手が出せない問題でした。
(2) は△ABCの外接円を底面とする円すいに着目できれば難しくはなかったでしょう。
(3) は適当な平面に着目できたかどうかがポイントでした。
(4) は (3) と同様に考えればよいでしょう。2つの場合があるのに気付けなかった人もいたようです。
数学 ②
採点・添削した先生からのメッセージ
得点分布グラフ

高1トップレベル模試のできはどうだったでしょうか。今回の出題範囲は数学ⅠA全てと微分積分を除く数学Ⅱ全てでした。今回の模試は、難関大学の数学の入試問題に対応できるようになるための基礎固めをスムーズに始められる水準にあるかどうかを測れる問題で構成しました。今回好調だった人はおごることなく着実に学習を重ねてゆきましょう。不本意な結果に終わった人はまず手を動かしながら解答解説を熟読し、今回の模試の内容だけでも完全に身に着けることから始めましょう。
- 第1問【小問集合】
-
基礎となる知識や手法が定着しているかどうかを測れる小問を集めました。 (5) 以外はよくできていました。
(1) は必要条件・十分条件についての問題です。「必要」「十分」のどちらがどちらだったか混乱する人がいますが、言葉の意味と正しく関連付ければ自然に判別できるはずです。
(2) は台形を回転させてできる立体の体積を求める問題です。円すいの体積の差を計算することで求める体積を得ることができます。
(3) は余弦定理の確認問題です。式にあやふやな部分がある人は、たとえば正三角形など簡単な例で確認するとよいでしょう。
(4) は整式の割り算についての問題です。割られる式、割る式、商の式、余りの式の関係を等式で表す方針がとれたかどうかがポイントです。
(5) は常用対数を用いて桁数を求める問題です。定型的かつ基本的な問題だったのですが、不慣れな人が多かったようで、こちらの想定を下回るできでした。
- 第2問【図形と方程式】
-
ある共通の文字定数kの値でいずれも変化する放物線と直線の交点についての問題です。
(1) は放物線と直線が必ず異なる2点で交わることを示す問題です。放物線の方程式と直線の方程式からyを消去した2次方程式が異なる2つの実数解を持つことを示せばよいです。また、実はこの直線のy軸切片はかならずこの放物線のy軸切片より大きくなります。そのことを示せば、この放物線は下に凸であることから、確かに異なる2交点を持つと結論することができます。
(2) は2交点を結ぶ線分の長さからkの値を決定する問題です。線分の長さをkで表せば、kの方程式を解くことに帰着されます。
(3) は2交点の中点の軌跡を求める問題です。2交点の中点をkで表してからkを消去することで求める軌跡を得ることができます。
- 第3問【確率】
-
サイコロを4回振るときの出る目の確率についての問題です。4回のサイコロの目の出方それぞれを根元事象とすればよいでしょう。 (4) 以外はまずまずできていました。
(1) は出る目の和が5になる確率を求める問題です。定義通りに条件を満たす根元事象の数をすべての根元事象の数で割ればよいでしょう。
(2) は出る目の積が偶数になる確率を求める問題です。「偶数でない」場合、すなわち奇数である場合の方が考えやすいことから余事象の確率を考えるとよいでしょう。
(3) は3の倍数の目がちょうど2回出る確率を考える問題です。反復事象の確率で考えればよいでしょう。
(4) は条件付き確率の問題です。条件付き確率を求めるには確率の比を考える方針と根元事象の数の比を考える方針とがありますが、本小問では確率の比の方が考えやすいでしょう。
- 第4問【三角関数】
-
座標平面上の図形の面積の最小値を三角関数を用いて考える問題です。面積を表す関数は適当な置き換えにより2次関数に帰着させることができます。
(1) は考える面積を2次関数に帰着させることができるかを問う問題です。考える面積を三角関数で表した後で三角関数の相互関係を用いるとよいでしょう。
(2) は三角関数の合成について確認する問題です。答えは基礎知識といっても過言ではないでしょう。r、θの2つの値について問われているので、どちらの値のことなのかわかるように答えなくてはいけません。
(3) は (1) (2) を踏まえて面積の最小値を求める問題です。 (2) から置き換えるtのとりうる値の範囲がわかるので、その範囲での置き換えで得られた2次関数の最小値を求めればよいです。
(4) は面積が最小となるときのある点の座標について考える問題です。面積が最小となるときの置き換えた変数tの値からθが求められます。θがわかれば求める点の座標を得ることができます。また、単に円と直線の交点の座標として考えることもできます。
国語
採点・添削した先生からのメッセージ
得点分布グラフ

現代文二題・古文一題・漢文一題の大問4題構成でした。設問形式は記述式・選択式の両方を採用しました。設問種類は語句確認・内容説明・理由説明・空欄補充・抜き出しなどで多岐にわたります。いわゆるオールラウンド型の模試でした。課題文は近年の大学入試の傾向を踏まえて、オーソドックスなものをチョイスしました。つまり、この模試を通じて、大学入試合格のために必要なスキルを確認することができるものになっています。今回の受験を通して実戦感覚をつかみ、よく復習して次につなげてください。成績に一喜一憂することなく、来るべき入試に向けて着々と弱点克服に努めてください。
- 第1問【現代文の読解】
-
問1の「適当でないもの」を選ばせるタイプに慣れていない受験生は苦労したようです。「適当なもの」か「適当でないもの」かよく確認してください。「適当でないもの」を選択肢の中から選ばせる設問では、正解以外は「適当なもの」ですから、先に全ての選択肢をざっと見ておけば読解の助けになります。その辺りの実戦感覚を身につけてもらいたいところです。
問3の空欄補充問題で失点した受験生は、まずはこうした基本的な設問を完答できるように実力をつけてください。前後のつながり (文と文、あるいは段落と段落の相互関係) に着目して正解を選びます。この手の設問は、他の設問以上に必ず明確な論理で解答できます。
問4の記述解答末尾が理由説明の形になっていないものが散見されました。この手のものは基本的には「から」「ため」で結びましょう。こうした体裁面での減点には気を付けなくてはいけません。書いたものと解答例をよく見比べましょう。解説を読んで、採点ポイントとなった箇所をマークする等、じっくりと (本文も見ながら) 検討してください。ここでどれだけ時間を割けるかで学力の伸びに差が出ます。
- 第2問【現代文の読解】
-
詩の引用、文章の引用があり、読みにくさを感じた受験生もいたことでしょう。一方で、こうした引用があるにもかかわらず、リズムよくどんどん先まで読むことができた受験生もいたことでしょう。両者の違いは何か。引用をしたのには筆者なりの意図があります。その意図を汲み取ることができたかどうかです。それは同時に、引用以外の箇所と引用箇所をセットで理解できているかどうかを意味します。理解できていれば後者で、そうでなければ前者というわけです。
問3や問4などは、語句の意味を問う設問でした。解答解説をよく読んで、登場した語句について復習しておきましょう。これができるかどうかで学力の伸びに差が出ます。その他の選択肢問題については、正解に至るプロセスを把握しているかを確認しましょう。「たまたま正解した」というケースがよくあるため、自信をもって正答を選択できるかどうかを再確認しておいてください。
最後に、評論であれ、随想 (随筆) であれ、入試問題 (模試問題) である以上、論理的に読み、正しい手順にもとづいて問題に取り組めば、解けない問題はないということを記しておきます。
- 第3問【古文の読解】
-
前書き (リード文) がわかりにくく感じた受験生もいたことでしょう。本文の読解に入る前に、まずは前書きを丁寧に読み、設定・前提をしっかりと理解しておくことが重要です。試験によってはこれより長い前書き、複雑な前書きは多くあります。途中、和歌が登場し、地の文との関係を考えながら読み進めていく必要があります (その点では大問2の読み方とあまり変わりません) 。
問1は「語句や文法の理解」と「文脈の理解」の両方に関わる設問です。完答できたなら、古文の基礎ができていると自信をもってよいですし、一つでも間違えたなら、解答解説と本文を照らし合わせてじっくりと復習する必要があります。
今回の模試を受験して、古語や文法の知識がないことにはどうにもならないということを実感した受験生は少なくないのではないでしょうか。読解しようにも知識が足りなくては始まらないと痛感したなら、それが古典学習の出発点となります。今回をよい契機とし、次回へつなげてください。
- 第4問【漢文の読解】
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問1で語句の読み、問2で書き下し文について問うています。いずれも漢文の基礎ですので、日々の学習成果がこういう所に出てきます。以降の、内容に関する設問は、まずは本文全体の筋を理解する必要がありました。漢文の場合、その大半の課題文は、ストーリーや主張がわかりやすく、論理構造がはっきりしています。つまり、現代文や古文と比較して、漢文が易しいとよく言われるのはそうした理由によります。漢文の問題を解くときは「この話はどういう話か」ということをしっかりと理解する必要があります。復習に際しては、現代語訳をよく読み、内容を理解するのが第一段階です。それができたら、書き下し文と本文の確認、解き方の確認をしましょう。内容がわかっていないことには解こうにも解けません (これは古文にも言えることです) ので、時間はかかりますが、現代語訳を丁寧に読むところから始めましょう。
SRT解釈
採点・添削した先生からのメッセージ
SRTの解釈探究は文章、図表、対話文などの複数の資料を正確に読み取り、分析を加え、自分なりの意見を表現する力を試しています。日頃から書籍や新聞、ニュースなどに触れ、他の人と話し合ったり自分の意見を表現したりしている人には、解きやすい問題だったと思います。
- 第1問【小問集合】
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大問1は討論などの場面を想定した、論理的な思考力を試す問題です。問1は図表の適切な読み取りを試す問題で、よくできていました。問2と問4は討論において重要な「反論」の力を試す問題で、どちらもよくできていました。問4は後ろへのつながりから考えると人間関係・人付き合いを「学ぶ」という内容になっていることが望ましく、「友達と仲良くなれない」といった書き方のものは減点しました。問3は、下線部のどちらが手段でどちらが目的かを見抜く問題で、見慣れない問題だったと思いますが、よくできていました。
- 第2問【読解と意見論述】
-
大問2は「忘れられる権利」をめぐる問題についてヨーロッパとアメリカの事例を具体的に論じた文章Ⅰと、その問題の根底にある思想の違いについて述べた文章Ⅱを組み合わせて出題しました。2つの文章を適切に組み合わせて活用する力が求められています。
問1は、ヨーロッパとアメリカの相違点と言えるものを選ぶ問題でした。オ、カ、キにやや誤答が目立ちました。ヨーロッパとアメリカが全文にわたって対比されて述べられているので、その違いを整理して読んでいきましょう。問2は、ヨーロッパで認められつつある忘れられる権利の例外を書く問題で、比較的よく書けていました。問3はヨーロッパとアメリカの根本的な思想の違いをまとめる問題で、しっかり書けている人とほとんど点にならなかった人に分かれました。設問に「文章Ⅱの内容を参考にして」とあるのに文章Ⅰの具体的な内容をもとに書いているものは、低い評価となっています。指定語「EU基本権憲章」は、ここでは「尊厳の重視」と結びつけて使うのが正しく、「個人情報機関の独立性」と結びつけているものは減点しました。「独立性」以前に、アメリカではそのような機関を置くこと自体が敬遠されているので、ヨーロッパとアメリカの違いを述べるときの説明としては不適切です。問4は、対話文中の下線部と同様の文を文章Ⅰから探す問題でしたが、文章Ⅰが長かったこともあり、苦戦した人が多くいたようです。抜き出す文の内容を頭の中で予想してから探すことが大切です。問5は実名報道についての自分の意見を書く問題でした。内容は比較的よく書けていましたが、論の展開や言葉遣いにおいて、しゃべっている言葉をそのまま書いたという印象の答案が目立ちました。意見文では、自分の主張や根拠、具体例などを書く前に整理し、読み手が理解しやすいように順序を考え、文章にふさわしい言葉を選んで書くことが必要です。
SRT数理
採点・添削した先生からのメッセージ
論理力評価テストSRTのできはどうだったでしょうか。今回は論理的なパズルのような問題、対話文等やや長い問題文を読みこなし、問われたことに答える問題、そして理科の知識を背景とする問題等様々な問題を出題しました。
試験時間が45分とやや短めだったこともあり、時間が足りなかったという人も多くいると思われます。解答解説を参考にし、時間無制限でじっくりと取り組んでみてください。思考力や確実な読解力を培っていきましょう。
- 第1問【小問集合】
-
長い問題文を読み、与えられた規則を正確に理解し、それぞれの問いに答える力を測ることを中心にして、様々な力を複合的に問う問題を並べました。問1が易しく順に難しくなるというわけではなく、様々な分野から多岐にわたり出題したため、できはバラバラであり、得意な分野、不得意な分野がはっきりと反映された人が多かったようです。不得意な分野が浮き彫りになった人は、必ず復習を行い克服するように努めてください。
問1は規則に従って文字を数字に置き換える問題です。計算は易しめですが、必ずしもできがよいわけではありませんでした。ただ単に計算問題として出題したならば正解できた人でも、その前に規則性を考える必要があり戸惑われた人もいたことでしょう。問2は、規則に従ってくまなく図形の上を移動できるかを考える問題です。解答解説集では、華麗な方法を紹介していますが、その知識を問う問題ではありません (この機会にぜひ身につけてほしいものではありますが) 。限られた時間の中で規則を理解し、最適な解を探すことができるかどうかを測ることが目的でした。問3は長い問題文を読み規則を理解し、それをもとに論理的な推理ができるかを測る問題でした。解答が2つある問題でしたが、1つしか見つけることができていない人が多くいました。すべての可能性をねばり強く考えることを忘れないようにしましょう。問4は、光の進路の問題です。知識の有無だけではなく、与えられた条件を吟味すれば正解に辿りつくことも可能です。
- 第2問【橋渡りパズル】
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太郎さんと花子さんのやや長めの対話文を読みながら、ある条件の下、橋を渡る時間についての問題を一緒に考えていきます。太郎さんが掲げた構想を鵜呑みにするのではなく、花子さんのように批判的かつ論理的に考えることができたでしょうか。
問1は、易しめの場合の数の問題です。問題文の規則を理解できるかどうかが問われますが、かん違いした人も多くいたようです。問2は、対岸からこちら側と、こちら側から対岸への移動にかかる時間をわけて考え、それぞれの場合に時間が最小となる渡り方を考え、それらを両方同時に行うことが不可能であることを論証する問題です。一方が最小となる場合を仮定すると、もう一方が最小となることはないという形で論証することが一般的です。このような場合の典型的な考え方なので、早いうちに身につけておきたいことのひとつです。このような論証に慣れていない方も多くいたようで白紙の答案も目立ちました。また、正解できている人の中でも、余計な部分がある人が多くいました。記述力を培うためには、自分の書いたものを先生等に添削してもらうことがもっとも効果的です。自分の書いたことが読んだ相手にきちんと通じているか、無駄なところがないか等ひとつひとつ反省することで記述力が身についてきます。根気のいる作業ですが、がんばりましょう。問3は、時間が2番目に少なくなる渡り方について考える問題です。こちら側から対岸と対岸からこちら側のどちらも最小となる渡り方は存在しないので、その次を考えます。花子さんの提案により、一般化して文字式で考えていきます。与えられた事象を、数学の言葉を用いて、一般化・抽象化して考えることにより、主観や思い込みに左右されることなく、論理的に解を導いていきます。問4では、問3で提案したことの正しさを確保するため、具体例を考えます。なんとなく話をすすめるのではなく、具体例を明示することにより、現実的に成り立つことを保証することを忘れてはいけません。以上の結果を踏まえて、問5で最初に掲げられた問題の正解に辿りつきます。
- 第3問【化学分野】
-
長い説明文を読み、一見複雑な自然現象をより単純な現象に分解し、それらを組み合わせることにより、深く理解することができる能力を測る問題であった。
問1 (1) は化学反応式の、原子の係数を求める問題であった。反応の前後で、原子の種類と個数が変わらないという法則を理解している必要があった。問1 (2) は、 (1) を踏まえて解答しなくてはならない。メタンガスと木炭の化学反応の違いが「水分子の生成の有無」であり、故に、「より乾燥できるのかどうか」が論述のポイントである。一つ一つ段階を踏んで論理的に論述する必要があったが、完答は難しかったようだ。
問2は、与えられた数字を的確に組み合わせて目的の数値を算出する問題。この思考過程は「フェルミ推定」とも呼ばれる。単純な計算が多段になっただけだが、正答率が極めて低かった。落ち着いて対処できるようにしたい。
問3は,燃焼反応の「連鎖」を理解し、その要素まで分解して理解することを求める問題であった。問題文の中にヒントを散りばめてあったので、それに気付ければ解答は容易であったはず。
問4は、引火点より低温では連鎖が続かないが、高温では連鎖が続くのはなぜ?と置き換えて考えて論述していただきたかった。論理がつながっていない記述が多く、特に正答率が低かった。一つ一つ論理をくみ上げて記述できるようになる為には、普段の生活や学習の際から、論理を組み上げて考える習慣を身に着けておきたい。
問5は、連鎖の要素を答える問題であり、大変良くできていた。
高2生 講評
2018年10月21日(日)に実施した「トップレベル模試」の講評・得点分布グラフです。
英語
採点・添削した先生からのメッセージ
得点分布グラフ

本模試では、リスニング、英作文、会話文読解、説明文読解という形式の出題を通じて、多面的に英語力を問いました。その中で個々の問題を精査すると、「読解力」と「記述表現力」という、2つの大きな課題が浮かび上がります。間違えた問題を見直す中で、正解するにはどのような考え方が必要だったのか、どのような要素を盛り込めばよかったのかを考え、今後に活かしていくようにしましょう。
- 第1問【リスニング】
-
Test Aは、簡単な対話を聴いて、それに続く応答を選ぶ問題です。日頃から音声学習 (聴く・話す) を行っている人にとっては容易に正解を選ぶことが出来た問題だったと思います。
Test Bは、アメリカの学生に関する英文の読み上げを聴き、設問に対する解答を選ぶ問題です。早い段階で英文のテーマを把握し、内容を予測しながら放送を聴けるようにするとよいでしょう。設問にばかり気を取られ、全体の内容をつかむことができないと、全問正解するのは難しくなります。英文を声に出して読みながら、内容を理解していく練習を積み重ねていくとよいでしょう。
- 第2問【文法・語法】
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Aでは正しいものを選ぶ、Bでは誤りを見つけるという形式で、文法・語法の知識を確認しました。英文を書く際にミスをしやすいものを出題しました。基本的な知識ばかりですので全体的に正答率は高かったですが、動詞の語法や準動詞の用法を誤って覚えてしまっているために、今回の問題で正解を出せなかった人もいます。これを機に、正しい表現方法を身につけましょう。
- 第3問【英作文】
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Aは和文英訳です。 (1) では、「目を覚ましたときには、終点に着いていました」の「着いていました」の部分を、過去完了を用いて表現してほしかったのですが、正しく書けた答案はあまり多くありませんでした。日本語にはない文法はなかなか理解しづらいですが、だからこそ、辞書や参考書などの基本例文を参考にして、正しく理解しておきましょう。
(2) では、「30分も過ぎている」という日本語を、It has passed 30 minutes としている答案が圧倒的に多くありました。英文を書く際には、主語と動詞を正しく表現することが何よりも重要です。例文をただ何となく覚えようとするのではなく、それぞれの単語の意味や働きを考えるようにしましょう。
Bは、「翻訳アプリと外国語学習の重要性」についての自由英作文です。空欄の前後にある英文をそのまま用いている答案が多かったです。それでは自然な会話とは言えません。また、「アプリがないと意志が伝えられない」「アプリを使うと感情が伝えられない」といった内容を答えた答案が多かったですが、本当にそうなのか自問自答してみると、よりよい答案になります。
- 第4問【会話文読解】
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選挙に関する会話を題材にして、「文脈把握力」を問いました。会話でも論説文でも、英語は「抽象」→「具体」、「主張」→「根拠」という流れで述べられるのが一般的です。今まで何も意識せずに英語を読んだり書いたりしていた人は、これからはそうした流れを意識してみましょう。英文を読む際には、展開を予測することが出来、速く正確に読めるようになります。英文を書く際には、読みやすい文章を書くことが出来るようになります。
- 第5問【長文読解1】
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イギリスの成人の水泳事情に関する文章を題材にして、「読解力」と「記述力」を問いました。問3の和訳問題では、「そのまま直訳しても不自然な日本語になってしまう部分を、いかに自然な日本語に出来るか」を試しました。もちろん日本語の表現力も重要ですが、前提となるのは、正確に英文の構造を把握する力であり、英語の語彙力でもあります。relativeの意味を間違えている答案や過去分詞の compared を文の述部として解釈している答案が多くありました。また、直訳できない put him off の部分は、直後の内容を読んで意味を類推してほしかったのですが、それを放棄してしまった答案が目立ちました。下線部だけを見て答えを出そうとするのではなく、少なくとも下線部を含む段落全体の趣旨をつかむようにしましょう。
- 第6問【長文読解2】
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記憶に関する文章を題材にして、「読解力」と「記述力」を問いました。記憶に関する脳の働きは、大学入試では頻出テーマです。このテーマについてあまり知らない人は、これを機に調べておくとよいでしょう。問3の説明問題では、下線部で述べられている主張だけでなく、それに対する根拠を文章から読み取り、答案に盛り込む必要がありますが、そのどちらかしか書かれていない答案がほとんどでした。また、全く関係がない部分をつないでしまい、意味の通らない日本語を解答としているものも非常に多くありました。基本的な漢字のミスも目立ちました。日頃から文章を書き、それを他の人に見てもらうことで、記述表現力を養っていくとよいでしょう。
数学
採点・添削した先生からのメッセージ
得点分布グラフ

高2トップレベル模試のできはどうだったでしょうか。今回の出題範囲は数学ⅠAⅡB全てでした。今回の模試は、難関大学の数学の入試問題に対応できるようになるための準備をスムーズに始められる水準にあるかどうかを測れる問題で構成しました。早い人の場合、あと1年しないで大学入試に臨むことになります。今回好調だった人はおごることなく着実に学習を重ねてゆきましょう。不本意な結果に終わった人はまず手を動かしながら解答解説を熟読し、今回の模試の内容だけでも完全に身に着けることから始めましょう。
- 第1問【小問集合】
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基礎となる知識や手法が定着しているかどうかを測れる小問を集めました。 (5) 以外はまずまずのできでした。
(1) は組み分けの数を求める問題です。組み合わせの数を用いるのが明快です。同じ人数の組があったら重複度を考えなければいけませんが、本小問ではその必要はありません。たとえば3!で割るようなことをしてしまった人は、今後はより数式の意味を意識するとよいかもしれません。
(2) は三辺の長さが与えられた三角形の内接円の半径を求める問題です。三角比を活用して図形量を求める基本が定着しているかが問われています。本小問については手が止まることなく最後まで解き切れるようでなくてはいけません。
(3) は整式の割り算についての問題でした。こちらの想定より苦戦した人が多かったようです。割られる式、割る式、商の式、余りの式の関係を等式で表す方針がとれたかどうかと、求める余りの係数に文字を設定できたかがどうかポイントでした。
(4) は座標平面上で直線から円が切り取る線分の長さについての問題です。手法の選択によって解答時間に大きく差の付く問題です。一般に円と直線が絡むときは、図形的性質に着目すると計算量を削減できることが多いようです。
(5) は平面ベクトルで表された図形について考える問題です。どのような図形になるかが把握できれば後は簡単な図形の求値問題なのですが、多くの人が苦戦していました。「どのような図形になるかが把握でき」なかったようです。闇雲に公式やベクトル方程式を覚えこむのではなく、なぜそのように表現できるのかを理解することを心がけましょう。
- 第2問【数列】
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数列について広く基本の定着度合いを確認する問題です。
(1) は具体的な数値を求めることを通じて漸化式の意味を理解できているかを問う問題です。大変よくできていました。
(2) は数学的帰納法の理解を問う問題です。一番基本的な形である「n=1の場合の確認」と「n=kの場合の成立を仮定してn=k+1の場合を示す」ことを組み合わせて推測を証明します。表現の仕方によってはこれら2つのことを示しているようでも細かくみるとギャップが生じていることがあるので注意が必要です。なお、与えられた漸化式を直接解こうとしている答案が複数ありましたが、本小問のように手法の指定がされている場合は、仮に正しく解けたとしてもほとんど評価されることはないでしょう。
(3) は数列の和を計算する問題です。 (ⅰ) は和の公式で計算すればよいでしょう。 (ⅱ) は各項を適当に差の形にすることで計算することができます。いずれについても、最後にnに1、2、3ぐらいを代入して確かめてみることで些細なミスによる失点を防ぐことができます。
- 第3問【三角関数】
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三角関数を用いる複雑な関数について考える問題です。適当な置き換えにより3次関数に帰着させることができます。どこまでできるかを測定するために小問で誘導していますが、復習の際にはいきなり (4) が問われても対応できるようになることを目安としましょう。
(1) は与えられた複雑な関数から置き換えにより3次関数を導けるかを問う問題です。三角関数の相互関係を用います。
(3) は (1) (2) を踏まえて、与えられた関数の最大値と最小値、およびそのときのθを求める問題です。 (2) から置き換えるtのとりうる値の範囲がわかるので、その範囲での置き換えで得られた3次関数の最大値と最小値を求めればよいです。θはtの値から求められます。
(4) は方程式の解の個数の問題です。置き換えで得られた3次関数のグラフを用いるとよいでしょう。tの値とθの個数の対応に注意が必要です。
- 第4問【微分積分】
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固定された放物線に接して動く放物線の頂点の軌跡についての問題です。2曲線が接することを考えるには微分が必要であること、最後に面積を定積分で計算することから微分積分の問題としました。
(1) は特定の接点について動く放物線を決定する問題です。接点を通ること・接点において共通の接点を持つことに着目して解くことができます。また、2つの放物線の方程式からyを消去した2次方程式が重解を持つ条件を考えて解くこともできます。ただしこの解法は、消去した結果が2次方程式になる場合ぐらいしか使えません。また、重解条件と問題文で与えられたような2曲線が接することの定義の間の関係について自明でないとする立場もあるかもしれません。その意味で、解答に示した解法が無難であるといえるでしょう。
(2) は動く放物線の頂点の軌跡を求める問題です。 (1) での操作を一般化すればよいでしょう。
(2) までが解けていれば、 (3) は単なる定積分の計算問題です。
国語
採点・添削した先生からのメッセージ
得点分布グラフ

- 第1問【現代文の読解】
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現代社会を論じた評論・論文を読むときには、文章内容が日常生活に基づくテーマであるため、その実感しやすさゆえに (自身の経験とずれていたり異なっていたりすると) かえって筆者の主張を読みとりにくく感じることがあります。受験生にとってテーマが身近に感じられるときは、自分の生活と照らし合わせて考えてみることは重要であるものの、一歩引いて冷静に読む姿勢も求められます。本文中に会話文が挿入され、読みにくさを感じた受験生もいたことでしょう。入試改革の影響で出題文章に変化が生じてきており、今回の文章選定はその辺りを考慮したものでした。毎年、入試問題は微妙に変化します。こういう機会を通して様々な文章に慣れていきましょう。
問3の空欄補充問題で失点した受験生は、まずはこうした基本的な設問を完答できるように実力をつけてください。前後のつながり (文と文、あるいは段落と段落の相互関係) に着目して正解を選びます。この手の設問は、他の設問以上に明確な論理で解答できます。
国公立大学志望の文系受験生 (あるいは一部の理系受験生) は問4の記述問題をよく復習しましょう。書いたものと解答例をよく見比べましょう。解説を読んで採点ポイントとなった箇所をじっくりと本文も見ながら検討してください。ここでどれだけ時間を割けるかで学力の伸びに差が出ます。
- 第2問【現代文の読解】
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問2の○×問題で失点した受験生が多くいました。正解を一つ選ばせる設問と違って特有の解きにくさがあります。入試改革の影響を受けて、こうした設問は増える傾向にあると考えられます。
問5の記述問題は大問1問4同様、復習の際に解答すべきポイントを整理しましょう。この塚本氏の文章を難しいと感じる受験生もいるでしょうが、これを契機として難易度の高い文章にも取り組みましょう。また、解答解説冊子に「本文解説」があります。それを読み、話の流れ・構造を押さえてから本文を再度読むとよいでしょう。
最後に、評論であれ、随想 (随筆) であれ、入試問題 (模試問題) である以上、論理的に読み、正しい手順にもとづいて問題に取り組めば、解けない問題はないということを記しておきます。
- 第3問【古文の読解】
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前書き (リード文) がわかりにくく感じた受験生もいたことでしょう。本文の読解に入る前に、まずは前書きを丁寧に読み、設定・前提をしっかりと理解しておくことが重要です。試験によってはこれより長い前書き、複雑な前書きは多くあります。途中の和歌は地の文との関係を考えながら読み進めていかねばなりませんでした。
問1は「語句や文法の理解」と「文脈の理解」の両方に関わる設問です。完答できたならば、古文の基礎ができていると自信をもってよいですし、一つでも間違えたなら、解答解説と本文を照らし合わせてじっくりと復習する必要があります。
正答率があまり高くなかったのは、問2の敬語に関する問題だったようです。敬語についての理解は文法学習における最後の山場です。まずは敬語の種類を判別すること。次に、地の文かそうでないかを確認して動作の為手・受け手をはっきりさせましょう。誰から誰への敬意かが確実にわかるようになれば敬語の学習は概ね完結したと考えてよいでしょう。
問6の現代語訳を確認する問題では、文脈の理解はさることながら、単語一つひとつに目を向けて、訳が漏れている箇所がないように気を付けましょう。
今回の模試を受験して古語や文法の知識がないことにはどうにもならないということを実感した受験生は少なくないのではないでしょうか。読解しようにも知識が足りなくては始まらないと痛感したなら、それが古典学習の出発点となります。今回をよい契機とし、次回へつなげてください。
- 第4問【漢文の読解】
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問1で語句の読み、問2で書き下し文について問うています。いずれも漢文の基礎ですので、日々の学習成果がこういう所に出てきます。以降の、内容に関する設問は、まずは本文全体の筋を理解する必要がありました。ここでも重要語句を理解していることが重要になりますが、漢文の場合、その大半の課題文はストーリーや主張がわかりやすく、論理構造がはっきりしています。つまり、現代文や古文と比較して、漢文が易しいとよく言われるのはそうした理由によります。漢文の問題を解くときは「この話はどういう話か」ということをしっかりと理解する必要があります。復習に際しては、現代語訳をよく読み、内容を理解するのが第一段階です。それができたら、書き下し文と本文の確認、解き方の確認をしましょう。内容がわかっていないことには解こうにも解けません (これは古文にも言えることです) ので、時間はかかりますが、現代語訳を丁寧に読むところから始めましょう。