【連載】2013年7月 中学生へのメッセージ

今年は空梅雨のようですね。夏の水不足は大丈夫でしょうか……。

KIROBO 同性婚 iPS細胞

今月は三題噺です。
これらのキーワードは、すべてつい先日の6月27日(水)に報じられたものですが、これらから連想できることは何かありますか?答えは……。

KIBO ROBOT PROJECT(きぼう ロボット プロジェクト)
最初のことば「KIROBO」は報道をご覧になっていないと分からないので少し説明します。この項目タイトルで重要な任務を帯びた小型ロボットの名前がKIROBOです。このプロジェクトのビジョンには、「単身化社会の到来→コミュニケーションの激減→その緩和」という推測と目標が掲げられています。
その第一弾として、以前、電池のCMで脚光を浴びたロボットと同じ外見のロボットを宇宙へ送り、国際ステーションの若田光一さんと会話をさせるプロジェクトが報じられました。非常に小型のボディの中に人間との会話を成立させる回路が埋まっているかと思うと、技術の進歩は留まるところを知らないことを改めて実感させられます。
同性婚
アメリカの連邦最高裁が連邦法「結婚防衛法」は違憲であるという判決を下しました。つまり、州によって同性婚が認められていれば、同性同士での結婚が再開されるようです。カリフォルニア州では早速再開されました。欧州でもオランダをはじめとして、この新たな結婚形態が認められています。米国の報道機関の調査では55%の人々が同性婚に賛成しているようです。日本ではこのような制度を認める機運が高いとは言えませんが、もし議論が起こったらあなたはどう考えますか?
iPS細胞
以前、このコラムでも扱いましたが、いよいよ実用化に向けての実験が始まるようです。滲出(しんしゅつ)型加齢黄斑変性という難病治療に活用するそうです。(iPS細胞については2月のメッセージを参照ください)

3つのキーワードから連想できることは……?

将来、ロボットとの結婚が認められる可能性が出てきたということです。

今回のロボットはコミュニケーションを重視したものですが、人工知能の研究もかなりのスピードで進んでいます。コンピュータは学習プログラムを持つようになっており、実用化も始まっています。宇宙でというのは華々しいところですが、先述したプロジェクトの最も大切な部分は、人がさらに孤独化していくことを予測し、あえてその状況を想定をしているところと、コミュニケーションの相手として人間以外のものを想定しているところでしょう。国立情報学研究所の新井紀子先生はその著書の中でコンピュータが人間の仕事を奪う可能性を示唆しています。将来、人間が話す相手は人間ではなくなる日が来るかも知れません。

次に同性婚が認められたわけですが、かつて認められなかった理由のひとつとして同性同士では子どもを作ることができないということが挙げられるでしょう。ところが、同性婚がひろがっているのは個人の意思の尊重が根底にあるわけです。つまり、お互いがお互いをかけがえのない存在であると認めた場合、たまたま同性であるというだけで、結婚できないのはおかしいという考え方です。

さらにiPS細胞の技術を用いれば、さまざまな器官を作り出すことができ、男性の細胞から卵子が、女性の細胞から精子が作成可能になれば、前回お話ししたエピジェネティクスの技術以外でも子どもを作ることができるかもしれません。今後、自らの遺伝子だけでコピーができるようになる可能性もゼロではありません。すると、コミュニケーションがとれ、相手をかけがえのないものと思い、自分の子孫が残せるのであれば、どうしてロボットとの結婚ができないのでしょう。

技術の進歩は倫理も進歩させる。

医療の技術革新によって人の延命が可能になりました。しかし、同時に「いのち」のはじまりや終わりについて、厳密で慎重な議論をしなければならなくなり、万人が納得する基準を設けることが困難になりました。

今も技術は進歩し続けています。進歩によって私たちはかつてできなかったさまざまなことを実現することが可能になりました。その半面、明確な基準が曖昧になり、また、常識と思われていることを見直す必要が出てきています。だから、技術の進歩は必要ないということではなく、私たちは「想像力」を用いて、新たな問題を解決していかなくてはならないということをお話ししたかったのです。
 
ある日のニュースをひもづけるだけで未来を想像できます。何気ない一日でしたが、とても充実した時間でした。
 

リベラル英語を今年も開講します。

Y-SAPIXが誕生した2011年から、夏のイベント授業として行っています。初年度は中1生のみ対象の講座でしたが、昨年は3コースに拡大しました。今年度も昨年と同様に3コースでの開催となります。辞書を使わずに英文を読みこなしていく醍醐味を感じてください。

[8/4実施]リベラル英語(中高一貫校の中1・2・3生対象)

お問い合わせ: 0120-3759-37 (日曜・祝日を除く14:00〜18:00) Webフォームで問い合わせる