【連載】2013年11月 中学生へのメッセージ

台風が去ったと思ったら、いつの間にか冬の足音が聞こえるようになりました。
秋は……。もう終わりなのでしょうか。

世紀の天体ショー

2012年9月、ロシアのアマチュア天文家が発見したのがアイソン彗星です。今年の11月末から12月にかけて太陽にもっとも接近し、彗星の尾を引く美しい姿が観測できるようです。彗星の接近は観測上、希有な機会であるだけでなく、実は太陽系創成期の謎を解くデータ収集ができる機会でもあるのです。

彗星の型

彗星には「短周期彗星」と「長周期彗星」の2種類があります。

彗星は塵やガスの塊で、塊同士の衝突などをきっかけにして、引力に引かれ、太陽や各惑星に接近したり、場合によっては衝突を起こします。そもそも彗星は、太陽の形成後に、残ったガスや宇宙塵からできあがった微惑星であると考えられています。惑星は微惑星が衝突と合体を繰り返して創られました。また、黄道面と呼ばれる平面に沿って公転しています。太陽系の惑星は10程度ありますが、合体できなかった微惑星はどうなったのでしょうか。

太陽系には、ほかと合体することなく宇宙を漂う彗星が集まる場所が2つあります。一つ目は、海王星より外側という比較的太陽に近い領域です。この場所をカイパーベルトと呼び、この地帯から彗星となったものは、200年以下の周期で公転しています。冒頭に書いた「短周期彗星」です。短周期彗星は黄道面に沿って公転する特徴があります。かつて話題となったハレー彗星はこれに当たります。二つ目は、太陽系の外縁部でオールトの雲と呼ばれる場所です。この地帯から彗星となったものは、公転せずに一度だけ太陽系の惑星などに向かって楕円軌道を描きます。こちらが「長周期彗星」です。軌道も黄道面に沿うことはありません。今回取り上げたアイソン彗星はこれに当たります。

アイソン彗星の観測で分かること

太陽系ができたときのガスや塵を含んでいますから、彗星の中の成分を分析できると太陽系生成のメカニズムを説き明かす情報を手に入れることができます。アイソン彗星は太陽に接近しますから、温度が上昇し、彗星内部のガスが放出されやすくなったり、表面の物質が気化し、その状態から元素が特定できる可能性もあります。

技術の進歩が彗星発見を加速

かつて彗星は地球上から発見するしかありませんでした。しかし、①望遠鏡の精度が上がったこと、②それまではばらばらに活動していたコメットハンターが1990年代から連携をしてデータを持ち寄り、コンピュータによって解析するようになったことで発見数は飛躍的に伸びました。また、NASAは彗星探査の一環として2005年に「ディープインパクト」という探査機を打ち上げています。この探査機にはインパクターと呼ばれる道具が搭載されていました。370㎏の金属製の塊でこれを直接彗星に打ち込み、その衝撃で飛び散った鉱物やガスなどを観測するのです。

彗星は不幸の前兆?

彗星は肉眼でも見えますから、古くからその存在は知られていたようです。日本では『日本書紀』の中に684年のハレー彗星に関する記述があります。彗星は別名ほうき星と呼ばれ、尾を伴った天体が毎晩見え、近づいてくるように見えれば、不幸の前兆ととらえる人もいたようです。王様や身分の高い人の死や、大災害といった不吉なことが起きないかと恐れたり、地球の住人に対する天からの攻撃であると解釈されたりすることがあったようです。『ギルガメシュ叙事詩』、『ヨハネの黙示録』、『エノク書』といった権威ある書物でも彗星について触れられています。

日本でも観測可能

既に日本でもアイソン彗星を観測できます。詳しくは国立天文台のホームページなどで確認してみてください。ひょっとすると学校でも観測を始めているかもしれませんね。彗星観測の意義について少し硬い内容になりましたが、秋の夜、明るい彗星をみながら、さまざまに思いを馳せるのもよいのではないでしょうか。

特別授業 リベラル読解研究

先月もお伝えしましたが、11月23日()に行われる「リベラル読解研究」についてお話しします。

「リベラル読解研究」は、書籍をテキストとして、テーマに対する自分の持った意見を、討論によってより明確にしたり、場合によっては異なる意見に修正したりする、とても刺激的な授業です。Y-SAPIX生は毎週、読解と討論を行い、さまざまなテーマに対しての造詣を深めています。

今回の講座では「死刑制度」と「終末期医療」という重要なテーマを扱います。重い話題だな、と感じる方もいると思いますが、人間が避けては通れない問題ではないでしょうか。

罪を死を持って償わせることの是非については法的な問題と考えれば、日本に閉じた問題と考えることもできますし、命や人権と刑罰のあり方に関する問題と考えれば、もっと世界の動向に目を向けなければなりません。終末期医療について考えることは、医学の進歩の功罪を考えることになるでしょう。命を救うという切実な思いが命を終わらせる判断を人間に求めることにもなってきています。この問題は人間の命に対する根本的な理解をも変えてきているとも考えられます。

読解・思考・表現という中高生が身につけ、磨くべきヒントが必ず見つかる講座です。皆さんの参加をお待ちしています。

お問い合わせ: 0120-3759-37 (日曜・祝日を除く14:00〜18:00) Webフォームで問い合わせる