第3回「全国論文コンテスト」表彰式

去る11月11日、「第3回全国論文コンテスト」の表彰式が代々木ゼミナール本部校代ゼミタワーにて執り行われました。表彰式には受賞者6名の他、課題図書『ポピュリズムとは何か』の著者水島治郎先生をお招きし、賞状の授与と先生による講演、そして先生と受賞者との公開授業を行いました。
水島先生の講演では、受賞者の方々へのエールをお送りいただいた後、課題図書の執筆のきっかけともなった、ヨーロッパにおけるポピュリズムの台頭の歴史について語られました。
そして、世界の動きを知ることは日本の将来を考えるにあたっても大切なことであると述べ、講演をしめくくられました。
続けて行われた公開授業では、課題図書を踏まえた、受賞者の熱心な質問に、水島先生が社会情勢の解説も織り込んで丁寧に解答されており、本表彰式は、全体を通して大変有意義なものとなりました。
受験生の皆さんのご健闘をお祈りいたします
受験シーズンが近づいてきました。一部の入試はすでに始まり、受験生の皆さんは、いよいよ追い込みをかけようとしている頃だと思います。
刻苦精励する皆さんを見ていると、くれぐれも体調を崩さないでほしいと、自分の受験時を振り返っては切実に思います。入試2日前、昼過ぎに不調を覚えて午後から寝込み、ようやく回復した当日の朝――。
このような事態に陥らないように、皆さんは健康面の管理に気を配ってください。受験直前のラストスパートも本番での実力発揮も、それらを支える集中力も、体調が整っていて可能となります。また、今のうちに、受験日程や出願の準備、試験会場への道順など、必要事項を確認しておきましょう。直前期に入ると毎日が慌ただしくなります。早めに準備を整えておくことで、勉強にも落ち着いて取り組めます。
皆さんの入試が、晴れやかな結果となりますように。受験当日、落ち着いて日頃の成果を発揮できるように、Y-SAPIX は皆さんを応援しています。
リベラル書籍紹介
中学生 使用書籍紹介
- 中2 …… 1月期『中学生からの哲学「超」入門』竹田青嗣
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「『自分らしさ』ってなんだろう?」「『幸せ』ってどういうことをいうのだろう?」皆さんはこんな疑問を感じたことはありますか? あるいは、「なんで学校に行かないといけないのだろう? それって誰が決めたのだろう?」と不思議に思ったことはありませんか? このような問いを原理からつきつめて考えるのが、「哲学」という学問です。
この本では、これらの問題が「ルール」という観点から説明されます。私たちは、一人ひとり、生まれ育ってくるなかでいろいろなルールを身につけている。嘘をついてはいけない、挨拶をしないといけない、信号を守らないといけないといった社会的なルールである。しかしそれだけではなく、「善悪」や「美醜」といった「自己ルール」があり、私たちは「~したい」と希望するとき、このような自己ルールに則っている。これらの自己ルールを吟味し、それに即して行動することで、「自分らしく」ふるまえるようになる――。
「む、むずかしい!」とびっくりした人もいれば、「なんとなくわかるけど、でも……」と納得いかない人もいることでしょう。リベラル読解研究の授業では筆者の議論を追いながら、みんなで意見を交わしつつ、考えていきましょう。
- 中3 …… 冬期『論語物語』下村湖人
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皆さんは孔子という人物の名を聞いたことはありますか? 名前は耳にしたことはなくても、「吾十有五にして学に志す」といった言葉や、『論語』という彼の言行録は小耳に挟んだことがあるかもしれません。冬期講習では孔子とその弟子たちとの交流を描き出した、下村湖人による『論語物語』を扱います。
そう言われたら、「え、孔子って今から2500年も前の人でしょ? 古くさそう」と心配する人もいるかもしれません。「『こういうふうに振る舞いなさい』っていう、エラそうなお説教本なんじゃ……」「漢文苦手……」と憂鬱になる人もいるかもしれません。
門人たちの不注意さや思い上がりを、孔子は厳しく戒めます。ですから読んでいると、彼らと一緒に叱られているような気持ちになってくるかもしれません。しかし、そのような失策や失態に深く共感する箇所もあり、「ああ、たしかにこういうことあるなあ」と、読んでいるうちにしみじみと自分を振り返ることもあるはずです。この本は一方的で時代遅れの教訓書ではなく、現代の皆さんもシンパシーを感じるような、身近な物語なのです。
なお漢文については、授業で少しずつ学んでいきますので心配はいりません。生き生きと描かれる孔子一門と交わりつつ、漢文に親しんでいきましょう。
高校生 使用書籍紹介
- 冬期『ダイヤモンドダスト』南木佳士
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この本には4編の短編小説が収録されており、いずれも生と死、死に近づく者とその周辺の人々との交流がテーマに据えられています。
死に近づいた人の姿は、時として「終わり」を強く感じさせます。生きる力が失われ、あとは運命を受け入れるしかない。そのような状態が、暗く後ろ向きに捉えられがちです。しかし、この本を読むと、死がそのような絶望ばかりではなく、残された人々の迷いを断ち切ったり、わずかでも希望を与えたりする側面があることに気づきます。
それぞれの物語の登場人物にとって「生と死」がどのような意味を持っているか、じっくり考えながら読んでみましょう。
- 1月期・2月期前半『美学への招待』佐々木健一
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皆さんは「芸術」についてどのようなイメージを持っていますか。浮世離れしていて自分には縁遠いもの、そんな風に思う人も少なくないかもしれません。しかし、私たちの身近にある物や場所に、芸術やその美しさを考えるヒントはたくさんあります。この本では、それらをきっかけに、美学の基礎、美しさの変化について、丁寧に解説していきます。
たとえば近年「○○ミュージアム」と呼ばれる施設が続々と開館しています。しかしそれは、日本語訳である「博物館」「美術館」とも少々異なる趣を持ったものの展示場所として、認識されているようです。そのような細分化が進んできたのはなぜか。分析していくと、現代の芸術観の移り変わりが見えてきます。
街を歩いていて、オブジェや風景などを見て「綺麗だな」と思った経験は皆さんあると思います。この本を読んで「なぜ綺麗なのか」まで踏み込んで考えられるようになると、より毎日が楽しくなるかもしれません。
これからの入試は大きく変わっていきます
大学入試改革の議論が本格化しています。すでに大学入学共通テストのモデル問題も公表されています。従来のセンター試験とは、出題の仕方において、大きく異なる部分もあります。詳細については、各種イベントや日々の授業の中で解説していきますが、皆さんの方でも調べておきましょう。入試で求められる力は、時代とともに変化していきます。入試対策を十分にすることは、変わりゆく時代にしっかり備えていくことでもあります。
次回は春号の予定です。