第17回 東大入試《理科》問題の傾向&対策 生物

東大研究室

生物

2011年度までの出題傾向

大問数3題、論述問題が中心という東大生物の出題形式は過去10数年変わっていない。ただ、描図問題が過去2年連続して出題されたり、計算問題や選択・記述問題もそれなりに出題されるなど、多様な出題形式が含まれることも特徴的であるといえる。

難易度は近年やや易化傾向にあるとはいえ、大半を占める実験考察・資料解析問題は、総合的・多面的な知識統合力や、因果関係を見抜く高度な思考力・考察力を必要とするので、簡単ではない。

テーマは、ほとんどが最先端のもので、高校授業の範囲外となるものも多いが、それを補足するために、リード文中に丁寧な説明や解答の指針となるカギが盛り込まれており、問題文の読解力や図表の論理的解析力が勝負を決めることとなる。

出題内容別にみると、遺伝情報の発現、代謝、反応と調節が圧倒的に多く、生殖と発生、生物の集団、進化と系統、がそれに続く。また、論述量(1行35字の行数で指定されることが多い)は年度により変動があり、過去には13行(約455字)と東大生物としてはかなり少ないこともあった。

しかし東大の場合、論述量が「少ない=取り組みやすい」というわけではなく、制限字数に対して盛り込むポイントが多いため、その分、要点をつかんで内容を絞り込む力や文章力が要求されることとなる。

ここ5年間を見ると、2007年度は24-28行(約840-980字)、2008年度は25-27行(約875-945字)、2009年度は21-23行(約735-805字)、2010年度は29-31行(約1015-1085字)、2011年度は大きく減少して18行(約630字)と、変動はあるものの平均して20-30行前後の指定行数である。

生物Ⅱの選択分野(生物の集団、進化と系統)からの出題は年度によって異なり、2007年度は進化と系統から「分子進化」が、2008年度は生態から「窒素循環」が、2009年度は進化と系統から「自然選択説」、「集団遺伝」、「ミトコンドリアDNAによる系統解析」が、2011年度は進化と系統から「陸上植物の生活環と体制」が出題された。また、2010年度のように選択分野からの出題がない場合もある。

2012年度入試に向けての対策

今後も上記で示してきた論理的な思考力、解析力、考察力、論述力、読解力などの生物学的資質を求める東大生物の出題形式・内容は、変わらないと思われる。そして、このような傾向に対応するためには、特徴的な長い問題設定を集中力を切らすことなく的確に読みこなす能力、すなわち問題文中のカギを読みとる生物的読解力をつけることが最重要となる。

そのためには、本来は学術雑誌の論文等に目を通して訓練していくのが最善であるが、この方法は受験勉強としては知識的、時間的に多くの無理、無駄が生じる。したがって、できるだけ多くの過去問や、代ゼミの「東大入試プレ」など、東大対策用に作成された長文の多い生物問題にあたり、各問題文のポイントを正確に見つけだす演習を積むことが、東大生物対策としての読解力向上の最良の方法となろう。

次に、論述問題の比重が高い東大生物の入試では、限られた時間内で要領よくまとめる訓練が必要である。制限字数の少ない論述問題ほど、不要な修飾を省いて内容を絞る力を必要とする。これも過去問を用いて、誤字・脱字にも十分注意を払いながら、自分で書いてみる練習を行っていきたい。

できることなら、添削指導などを継続的に受けることが効果的である。また、知っていると理解・判断が容易となるような知識を少しでも補うため、時間的な余裕のある場合は、話題のテーマを扱っている新書などの通読を心掛けたい。さらに、直前期には東大対策として設定されたテストゼミなど、冬期直前講習会で実戦力を養うようにすれば最善であるといえる。

SAPIX YOZEMI GROUP「2011-2012 winter東大合格プロジェクト」より転載

次回は、「東大入試《地歴》問題の傾向&対策 日本史」を掲載予定です。

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