第4回 2011年度 医学部入試問題分析〈化学〉

医学部研究室

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国公立2次の「化学」

東大・京大の難易度が突出

旧帝大を中心とする難関国公立大では、東大・京大の難易度が突出しています。他の大学でも、標準的な問題が中心とはいえ、よく練られた隙の無い問題が多く見られます。他方、その他の国公立大は比較的、典型問題が多く見られます

いずれにせよ、医学部受験者のレベルから見て、他学部より合格点が高くなるので、肝に銘じておく必要があります。

医系単科大(札医大・京都府立医大・奈良県立医大など)の場合

また、医系単科大(札医大・京都府立医大・奈良県立医大など)の問題は、総合大学と違い独自の特徴があるので注意が必要です。高校の学習範囲外の内容を含むものや、一部の教科書にのみ「発展」として記載されている内容が問われることもあり、論述問題も多くなっています。

いずれの問題も高校の学習範囲内でも解ける問題になっていますが、表面的な勉強では対応出来ず、基礎理論の確実な理解と実戦力の養成が肝要です。医学や薬学に関連した有機化合物や、日常生活に関連した物質・現象が扱われることも多いので、日頃から興味・関心を持ち、それらに対する化学的理解を深めておくことも必要でしょう。

理論・有機が中心

出題分野はいずれの大学でもほぼ同じで、理論・有機が中心となります。理論分野は化学Ⅰ(「酸・塩基」、「酸化還元」、「熱化学」など)から化学Ⅱ(「気体」、「溶液」、「平衡」など)まで広範囲にわたって出題されます。

ただ、難易度の高い問題は化学Ⅱのほうに多く出題されます。とくに「蒸気圧」、「反応速度」、「化学平衡(「電離平衡」、「解離平衡」、「溶解平衡」、「蒸発平衡」など)」に思考力・考察力を要する問題が多く見られ、これらの出来具合が合否を分けると思われます。

また「無機」・「有機」と「理論」を織り交ぜた総合形式の問題が、国公立大化学の特徴のーつと言えます。断片的な知識だけではなく、知識に理論的考察を加える、という総合的な理解度が試されています。

基本理論の徹底理解から始める

いずれにせよ、いたずらに難問ばかりに手を出すのでなく、まずは基本理論の徹底理解から始めましょう。計算問題でも筋道を立て、見通しを持って解答するような訓練が肝要です。

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